Up 「確率分布」 で思考停止 作成: 2026-03-19
更新: 2026-03-19


    AI 技術論通説は,LLM を 「確率モデル」 と称する。
    モデルを 「確率モデル」 と定めるのは論点先取だが,通説はこれが前提である。
    よって,通説がモデルに関して 「確率」 を問題にする形は,
       この確率はどのようか?
    であり,つぎの形は,初めから問題にならない:
       そこに確率はあるのか?

    通説は,「確率」 をつぎのように説く:
      訓練 Training は,次トークンの確率分布の学習
      テクスト生成は,次トークンが確率で決定

    しかし,確率分布の形に埋め込まれているのを,見た者はいない。
    そして,その確率分布の中身を考えることもしていない。

    この構えは,「これは分かっていることだ」 と,そのうち説くことになる:
       巨大なデータを学習すると,
       確率分布の形にその構造が埋め込まれる
       ── このことが分かっている


    「確率分布」 を言い出すなら,これの中身を考えてもよさそうなものだが,考えない。
    なぜか?
    考えると,
      テクスト生成は,次トークンが確率で決定
    にはならないからである。

    もっとも,通説は自分が 「不都合を見ない・考えない」 だとは思っていない。
    実際,つぎのように説く:

    例1
    「このときの次トークンの確率分布は
        猫 0.40
        犬 0.30
        人 0.10
         ‥‥…
     この確率分布から
        最大値を選ぶ
        ランダムサンプリング
     などで,1つのトークン(one-hot) を決める。」

    例2
    「入力:
       私は昨日 ___ を食べた

     人間の実際の次トークンは
       ラーメン
       パン
       カレー
     など様々。
     どれが正しいかは唯一ではない。
     だから確率分布を出す。
     そしてそこから一つ選ぶという方法で
     自然な文が生成されることになる。」


    上の例は, 「確率分布」 の実際が思考停止されている。
    確率分布の数値は,例1のような大きな数値には,ならない。
    「そこから一つ選ぶ」ができるような凸凹は,できない。

    「不都合を見ない・考えない」 の言い方がきつく聞こえるとしても,「思考停止」 より穏やかな物言いは難しい。


    通説は,「トークン」 「確率」 「確率分布」 を,つぎを連続にするものと思っている:
     1. 訓練 Training は,次トークンの確率分布の学習
     2. テクスト生成は,次トークンが確率で決定

    そして,その連続を示せない。
    しかし通説の立場は,
       この連続を示せないことは,
       この連続を否定するものではない

    論理的には自家撞着だが,通説にとってこれは自家撞着ではない。
    通説のこの思考様式は,「野生の思考」 と位置づけることになる。