Up 応答能力 作成: 2025-06-29
更新: 2025-11-07


    "Training" を終えた Transformer 脳は,テクストの入力
      S → T = [ t_1, ‥‥, t_m ] → X = [ x_1, ‥‥, x_m ]
    に対して出力される
       P = [ p_1, ‥‥, p_m ]
    が,つぎのようになる:
       p_i ( i = 1, ‥‥, m ) は, 「ほぼ one-hot」

    ChatGPT は,この p_i の生成を続けさせて,応答テクストをつくる。
    以下のように:


    p_i は「つぎのトークン」の ID を指示するので,p_i の生成はトークンの生成を導く:
       [ x_1, ‥‥, x_m ] → x_m のつぎ y_1
        [ x_1, ‥‥, x_m, y_1 ] → y_1 のつぎ y_2
          :

    このトークン生成は,<EOS> (文末を表すトークン) に至る。
    即ち,Transformer 脳の「"Training" 飽和」には,「Sが通常のテクスト なら,いつか<EOS>を出す」が含まれている。

    ChatGPT は,y_1 から<EOS>までのトークンを,「Sに対する応答」として逐次出力する。
    実際,これは「応答」のテクストになっている。
    即ち,Transformer 脳の「"Training" 飽和」には,「Sから導出した y_1, ‥‥, <EOS> が,Sに対する応答になる」が含まれている。


    y_1, ‥‥, <EOS> が応答になっていることの説明は,どんなものになるか?

    椅子は,素材が引きつけ合ってできるものではない。
    椅子の設計があって,それに沿って材料が集められ,そして組立の作業となる。
    応答の生成も,同じはずである。
    意味の通った応答テクストは,トークンが引きつけ合ってできるものではない。
    テクストの構想/計画が先ずあって,それに沿ってトークンがつながれる。
    作り手が作るのである。


    この「作り手」は,存在として何か?
    つぎのように言うしかない:
      [ x_1, ‥‥, x_m ] の軌道の惰性

    入力テクストをなぞっていると,その終端で「なぞりの惰性」ができている。
    この「惰性」が,応答テクストの「作り手」ということになる。


    「テクスト軌道」は,この「なぞり」につぎの幾何学的イメージをあてるものである:
     「D次元数空間のなかで,トークン点 x_1, ‥‥, x_mを
      なめらかに渉って進む移動」

    テクスト生成を「構想/計画して書く」と表現するとき,「構想/計画して」は,先行するテクストの軌道の惰性がこれのダイナミクスである。
    「考えて書く」と表現するとき,「考えて」は,先行するテクストの軌道の惰性がこれのダイナミクスである。