Up 「生成しようとするテクストを生成する」 作成: 2025-09-03
更新: 2025-09-04


    Transformer のテクスト生成を,通説は「トークンの連想」で説明する。
    この説明は,Transformer のアルゴリズムをつぎの関数だと思っていることが,もとである:
      「入力のテクストに対し,これに追加するトークンを出力」

    これは,間違いである。
    テクストの入力に対するアルゴリズムの出力は,<処理>なのである:

      テクスト  トークン トークン ‥‥ トークン <eos>
             ↑    ↑ ‥‥‥‥‥ ↑    ↑
          処理 │ 処理 │ ‥‥‥‥‥ │ 処理 │
        └────┴────┴ ‥‥‥‥‥ ┴────┘
                <処理>        


    アルゴリズムは決定論であるから,テクストを入力した段階で<処理>が決まっていることになる。
    よって,生成されるトークンも決まっている。
    Transformer 脳のテクスト生成は,まさしく
      「生成しようとするテクストを生成する」
    なのである。

    一方,ひとはこの決定論を分析したり追跡したりすることができない。
    人知の及ばない複雑な世界の出来事だからである。
    そう,脳は人知の及ばない複雑な世界である。