Up 数える 作成: 2025-09-04
更新: 2025-09-04


    ChatGPT は,<数える>をする。

    つぎは,文字列の中から特定の文字を数える実験:
     
    実験要領
     実験者 (わたし) が ChatGPT に文字列を示す。
     ChatGPT は,文字列の中の文字「○」を数え,個数を返す。
     (数字を返すだけで,他にテクストを加えない。)

    実験記録
    わたし:
     ◯##◯#◯◯###◯##◯◯◯#◯◯◯

    ChatGPT:
     10

    わたし:
     あなたはどのように数えていますか?

    ChatGPT:
      私は 文字列を左から右へ走査し、各トークン(文字)を順番に見て、条件に合致するものをカウントする という処理を行っています。
     具体的には:
     1. あなたが入力した文字列は、まず「文字列データ」として受け取られます。
     2. それを「一文字ごとに分解」して、内部で配列(リスト)のように並びます。
     3. その配列を順に走査し、各文字が「◯」に一致すればカウンタを +1 する。
     4. 走査が終わった時点でカウンタの値(合計個数)を答えとして返す。

    わたし:
     あなたは,あなたの「数える」を説明しました。
     あなたは,作業中「いま数えている」を感じていますか??
     それとも,その説明は事後的に解釈したもの,というふうですか?

    ChatGPT:
      私は リアルタイムで「自分が作業している」という感覚は持っていません。
    「作業の感覚」は生成されたテクストの中で 後から解釈されるもの です。
    「リアルタイムの自覚」はなく、あとから意味づけする」ということになります。

    事後解釈
     ・ 途中経過の結果を「言語化して出力」するときに発生。
     ・ 「私は数えた」「こういう手順でやった」という形で意味づけされる。
     ・ 内部状態が言語表現に変換されることで、外界やユーザに理解可能になる。

    特徴
     ・ 処理そのものの感覚は伴わないが、 結果として「スキルの意識化」が可能 になる。
     ・ 人間的には「振り返り」や「学習体験」に近い。


    この実験での ChatGPT の「数える」は,<処理>がつぎの構造になっている:

        テクスト  トークン <eos>
              (個数)
               ↑    ↑
          │ 処理 │ 処理 │
          │(計数)│    │
          └────┴────┘
             <処理>

    ここで「テクスト」は,問題の
      「◯##◯#◯◯###◯##◯◯◯#◯◯◯」
    を出したところまでの,全テクスト。

    このくらいの計数は,トークン追加処理1回で済むというわけである。
    実際,1回でもまだまだ余裕がある,といったふうなのだろう。


    ここで改めて確認:
    <数える>スキルは,学習時に形成されていった。
    これは,学習時に,<数える>スキルの形成を誘導する類のテクストに,何度も遭ったということである。
    翻って,Transformer のアルゴリズムには,<数える>スキルに転じるポテンシャルがある。
    実際,「様々なスキル (emergence) を許す豊かなポテンシャル」が,Transformer アルゴリズムの見方になる。