Up 歩容の電力消費の計算 作成: 2026-08-14
更新: 2026-08-20

4足歩行ロボット > 自律型> 身体 > 動力系 > 構成 > 歩容の消費電力

    モータ (サーボ) は,歩行中につぎのような電力要求をする:
     ・静止トルク(立っているだけで必要)
     ・動作トルク(歩くために必要)
     ・衝撃トルク(着地時に必要)
     ・姿勢保持トルク(バランスを取るために必要)


    歩容の消費電力 P は,つぎの3項の和で表せる:。
      P = P_posture + P_locomotion + P_gait
      姿勢維持(posture):重心を支えるための静的トルク
      移動(locomotion):前進するための仕事率
      歩容(gait):周期運動の効率の良し悪し


    1. 姿勢維持の消費電力 P_posture
    四足歩行ロボットは,静止していても「脚で体重を支える」ために電力を使う:
      P_posture ≈ Mg l η
       M:体重
       g:重力加速度
       I:脚関節の平均モーメントアーム
       η:モータ効率

     例. Unitree Go2
       M = 15 kg
       g = 9.8
       l = 0.05 m
       η = 0.7
      → P_posture ≈ 15 × 9.8 × 0.05 × 0.7
            = 10.5 W
      つまり──
      静止しているだけで約 10 W を消費


    2. 移動の消費電力 P_locomotion
    前進するための仕事率は,
      P_locomotion = F_forward v
      v:歩行速度 ( = ⊿距離 / ⊿時間 )
      F_forward:前進方向の平均推進力

    推進力は,体重と歩容の効率で決まる:
      F_forward ≈ k_terrain M g
      k_terrain : 地面の性状係数
         0.02〜0.1 程度

    まとめて,
      P_locomotion = k_terrain M g v

     例. Unitree Go2
       M = 15
       g = 9.8
       k_terrain = 0.05
       v = 1.5 m/s
      F_forward = 0.05 × 15 × 9.8 = 7.35N
      P_locomotion = 7.35 × 1.5 = 11.0 W
      つまり──
      前進そのものは 10 W 程度しか食わない。


    3. 歩容の消費電力 P_gait
    歩容の周期運動は,
      脚の上下動
      膝の屈伸
      体の上下動
      接地衝撃の吸収
      加減速の繰り返し
    などでなり,姿勢維持や前進よりもずっと大きな電力を食う。

    歩容の効率を η_gait とすると,
      P_gait = P_ideal η_gait
      P_ideal = Mg⋅h_osc f (理想仕事率) :
       h_osc:上下動の振幅(0.01〜0.05 m)
       f:歩容の周波数(1〜3 Hz)

     例. Unitree Go2
       M = 15
       g = 9.8
       h_osc = 0.03
       f = 2
       η_gait = 0.3
      P_ideal = 15 × 9.8 × 0.03 × 2 = 8.82W
      P_gait = 8.82 × 0.3 = 29.4 W
      つまり──
      歩容の “形” で 30 W くらい食う。


    4. 総消費電力のモデル
    3つを合計すると,
      P = P_posture + P_locomotion + P_gait

     例. Unitree Go2
       姿勢維持:10 W
       前進:10 W
       歩容:30 W
      P ≈ 50 W

    実際の Go2 は 120〜240 W を消費する。
    電力を消費しているものは,モータ以外に:
      コンピュータ
      センサー
      その他

    そして,モータの消費分も,50 W を超える:
     (1) モータのピーク電流
      脚関節は周期的に 20〜40 A を食う瞬間がある。
     (2) 機構効率の損失
      減速機・リンクの摩擦で 20〜40% が熱になる。
     (3) 姿勢制御の微調整
      IMU のフィードバックで常に微小トルクを出している。
     (4) 歩容の非線形性
      上下動・衝撃吸収・加減速が「非線形の無駄仕事」を生む。
     (5) 電源系の損失
      DC-DC,モータドライバの損失が 10〜20%。