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読売新聞 北海道版, 2019-12-11
アイヌ研究 倫理指針案
権利尊重、「同意」など列記
4団体策定
研究目的で収集されたアイヌ遺骨の取り扱いなどが問題となる中、日本人類学会、日本考古学協会、日本文化人類学会と道アイヌ協会は、アイヌ民族に関する研究倫理指針案を初めて策定した。アイヌの権利を尊重した適正な研究を確保することが目的。今後、意見公募 (パブリックコメント) などを実施し、来年に正式決定する。
意見公募、来年に正式決定
指針案は、10日に開かれた道アイヌ協会理事会で報告された。
3研究者団体は、過去の研究がアイヌ民族独自の世界観や宗教観に対する配慮に欠け、アイヌ不在のまま進められていたことを深く反省。その上で、①研究に対するアイヌの自由意思による同意 ②倫理審査委員会による研究計画の審査 ③アイヌへの研究成果の還元──などを研究の基本方針として列記した。
研究対象とすべきではない資料としては、明治以降に埋葬されたアイヌの遺体や副葬品 (遺族などの同意があるものを除く) や、盗掘や関係者の同意を得ずに収集された資料などを挙げた。ただし、近世以前のものでも、血縁者などからの引き取り申し出の有無を確認すべきだとした。
アイヌに対する研究では、遺骨の収集やその後の管理などをめぐって不適切な点があったことを、北海道大や札幌医大も認めている。
道アイヌ協会の佐藤幸雄事務局長は、「アイヌの同意を得ずに行われたこれまでの研究成果の引用をどうするかなど、まだ検討すべき課題があり、今後詰めていきたい」と話している。
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アイヌ学の研究成果は,「アイヌの同意を得ずに行われたこれまでの研究成果」である。
「倫理指針」のロジックに従えば,これを引用する研究は,倫理審査委員会の審査により却けられる。
アイヌ学は,学術を「倫理」で縛ることを決めたときから既に終焉しているのであるが,この度の「倫理指針」を以て,研究の体も立たなくされる。
死んだ中身を隠蔽してきた形骸も,ここに最期を迎える──というわけである。
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