Up 結城庄司・太田竜・新谷行の宣言 作成: 2017-02-23
更新: 2017-03-27


      結城庄司 (1972)
     天皇軍は、原住民アイヌを、北辺に封じ込め、戦いが完全に勝利したかのように、歴史を歪曲しているが、そのごまかしは一九七二年に、原住民精神をつらぬく人々によって粉砕された
     「原住民精神」、それはアイヌ共和国創造への胎動である。
     現在もなお、天皇軍の手先共 (日本帝国主義機構の総て) は、アイヌが誇りとする、原始自然を破壊・略奪し、一九七三年に向けて日本列島改造部隊は、日本最後の原始境・アイヌの聖地 (大雪山) をも、解体青写真を製作してしまった。
     アイヌ共和国独立の戦いは、歴史に敢然と輝やく、アテルイとコシャマイン、シャクシャインの戦法 (ゲリラ作戦) によって、開始されなければならない
     天皇軍は、常に平和的甘言をもちいて、日本原住民の首をはね、原始共産制への民族の流れを、断ち切ろうとした。 この策略は失敗に終り、再度、日本帝国主義者共、天皇支配にたいし、アイヌ共和国独立の戦い、最前線連帯軍は結集されつつあることを、人民に宣言する。
     我々共和国同胞は、腐りきった天皇軍農耕文明を、徹底破壊し、その戦いを世界革命の原点としなければならない
     日本帝国主義者の総てを、自然を喰い荒す「怨獣」と考え、怨獣のたれ流す糞尿は、「公害」といってよいだろう。
     糞尿を喰わされるのは、常に「人民」であり新鮮な「自然」を喰うのは、常に怪獣 (日本帝国主義者) である。
     天皇が支配して来た、農耕文明はいつわりの神を祭り、仏教をとりいれ、日本原住民を、大和化し皇民化することに専念して来た。 現在も、アイヌを同化政策により、自らの罪悪の責任を回避しようとして失敗した。
     アイヌは、「自然─神秘─人間」を、自然主義とし、自然の神秘を神々とし、原始共産世界を自由の天地と考え、日本原住民の狩猟文化を護りぬいたのであり、北辺に強く生きているし、これが日本原住民の原点である。
     日本原住民の原点を、アイヌ共和国独立の同志は、常に忘れてはいなかった。 それは、生命への連帯であり、人間が自然 (大地) に戻る原則なのだ。 独立の魂は、永遠に燃え続けるのである。
     日本帝国主義者は、現代文明の中に喘ぐ人民を救おうとしない。 それどころか、人民の共有する自然をも、取りあげて、人間の精神の衰弱を図り、世界支配の野望に燃え、兵隊化しようと企らんでいるのである。
     アイヌ共和国独立の同志は、人間の原点に戻り、世界支配 (帝国主義) を、完全に粉砕しなければならない。
     一九七三年は、世界に同志を求めながら、画期的な革命戦争への日本原住民戦法により、日本歴史は、ぬりかえられて行く時となるであろう
    アイヌ解放同盟 結城庄司  


      太田竜 (1972a), p.67
     私は、北海道大学の教職員、学生、もと学生に対して要求する。 同大学北方文化研究所の一切の活動を停止させよ、と。
     高倉新一郎をボスとするこの研究所こそ、日本国におけるアイヌ研究の総本山であり,和人(シャモ)権力によるアイヌ絶滅作戦の総括と教訓を引き出してきたのである。
     高倉新一郎。この男から、すべての財産を没収せよ。

      太田竜 (1972b), p.96
     大学の権威あるアイヌ学者たちは、八月二十五日の糾弾行動のあと、若干の恐怖を感じている。
    彼らは、第二線に退却した。

      太田竜 (1972c), pp.223-225
     北方民族研究所が、平取町二風谷アイヌ文化資料館完成への祝辞として、「全道アイヌ同胞へのメッセージ」を発した。 その一部を引用する。
     
    全道アイヌ同胞へのメッセージ
     アイヌ文化資料館の完成、開館に当って、アイヌ部族独立の機運促進を目的として一九七二年五月に設立された北方民族研究所から、お祝いのあいさつを、会道のアイヌ同胞に送ります。
     しかし「お祝い」ばかりですましているわけにもゆかないのです。 なぜなら、私たちは、多年に渡ってアイヌ部族を精神文化の領域で絞め殺して来た和人のアイヌ専門学界という巨大な敵との闘争を、いま始めたばかりなのですから。
     私たちは、次の十三人の指導的な和人アイヌ専門家を、アイヌ部族に敵対したA級侵害犯罪人として指名します。
      1、故河野常吉
    2、故河野広道
    3、河野本道
    4、故金田一京助
    5、高倉新一郎
    6、更科源蔵
    7、藤本英夫
    8、故久保寺逸彦
    9、故児玉作左衛門
    10、名取武光
    11、奥山亮
    12、犬飼哲夫
    13、林善茂
     金田一京助が生涯の仕事としてやったユーカラの研究とは一体何でしょう。
     アイヌ部族のユーカラ伝誦の活動を「安楽死」させ、そして死体の解剖報告書を、征服者たる日本帝国にささげること、それです。
     ‥‥‥‥‥‥
     一九四五年八月十五日、日本帝国は敗れました。 そしてそのとき、全道のアイヌは解放の喜びに充ちあふれ、アイヌ部族独立ののろしが挙げられたのです。
     この志を、私たちは受けとめようと決意しました。‥‥‥ 
     一九七二年六月二二日

    「学者たち」に警告しておく。
    詩人新谷行と私によって起草されたこの北方民族研究所宣言は、必ず、着実に実行に移される、ということを。



  • 引用文献
    • 結城庄司 (1972) :「アイヌ独立の魂は、呪いの戦い、怨念と化し、自然を背景に燃え続けて来た」
      • 太田竜 (1973) に「全文引用」として収載
    • 太田竜 (1972a) :「アイヌ革命論」
      • 収載:太田竜『アイヌ革命論』, アイヌ共和国情報部 (新泉社), 1973, pp.43-86
    • 同上 (1972b) :「クナシリ蜂起の志を継ぐ」
      • 収載:同上, pp.87-103
    • 同上 (1972c) :「アイヌ共和国独立・夢と展望」
      • 収載:同上, pp.208-225
    • 同上 (1973) :「御用(ツキノエ)アイヌへの挑戦から始めよ」
      • 収載:同上, pp.166-188