Up 「保護」獲得計略 : 要旨 作成: 2017-01-24
更新: 2017-01-24


    アイヌは,終焉した。
    アイヌは,過去のものである。
    いま,「アイヌ」を自称する者── "アイヌ" ──がいる。
    アイヌは過去のものであるから,この自称は僭称・(かた)りである。

    一般に,騙りをする者は,騙りを正当化する理屈・イデオロギーで立つ。
    実際,騙りをする自分を正当化しなければ,自分そのものが保たない。
    "アイヌ" は,"アイヌ"イデオロギーを以て "アイヌ" である。


    "アイヌ"イデオロギーは,つぎが原型になる:
      「 シャモに虐げられているアイヌ同胞よ,
    団結してシャモを打倒し,
    自らを解放せよ!

    このイデオロギーは,使えない。
    アイヌ系統者は,既にすっかりシャモの中に拡散している。
    自分の「この指とまれ」に集まってくるのは,数人,よくて十人単位である。
    虐げられしアイヌ同胞」どころか「アイヌ同胞」のところでポシャってしまう。
    団結してシャモを打倒し,自らを解放せよ!」など何をねぼけたことを言っているのか,となってしまう。


    要点は,「この指とまれ」は,やってはだめだということである。
    これをやると,人数のショボさが暴露されてしまう。

    そこで,最初から「アイヌの代表」を僭称してしまう。
    そして,「アイヌの代表」を僭称する者たちが集って,「アイヌの組織」を立ち上げてしまう。

    アイヌ系統者は既にすっかりシャモの中に拡散しているわけであるから,この「アイヌの組織」は虚偽である。
    しかし,「アイヌの代表」を自任する思考回路は,自分たちが「アイヌの組織」をつくればそれは本当にアイヌの組織だと思うのである。


    こうして,「シャモに虐げられているアイヌ同胞」と「団結」が,立った。
    シャモに虐げられているアイヌ同胞」「団結」を,うまくぼやかすことができたわけである。

      野村義一 (アイヌ協会理事長)「国連総会記念演説」(1992-12-10 )  
    各国の政府代表部の皆さん、そして、兄弟姉妹である先住民族の代表の皆さんにアイヌ民族を代表して、心からご挨拶を申し上げます。
    ‥‥‥ 第二次世界大戦が終わると、日本は民主国家に生まれ変わりましたが、同化主義政策はそのまま継続され、ひどい差別や経済格差は依然として残っています。
    私たちアイヌ民族は、1988年以来、民族の尊厳と民族の権利を最低限保障する法律の制定を政府に求めていますが、私たちの権利を先住民族の権利と考えてこなかった日本では、極めて不幸なことに、私たちのこうした状況についてさえ政府は積極的に検討しようとしないのです。
    ‥‥‥
    日本のような同化主義の強い産業社会に暮らす先住民族として、アイヌ民族は、さまざまな民族根絶政策(エスノサイド)に対して、国連が先住民族の権利を保障する国際基準を早急に設定するよう要請いたします。
    また、先住民族の権利を考慮する伝統が弱いアジア地域の先住民族として、アイヌ民族は、国連が先住民族の権利状況を監視する国際機関を一日も早く確立し、その運営のために各国が積極的な財政措置を講じるよう要請いたします。


    シャモに虐げられているアイヌ同胞」「団結」をクリアできたら,続けて「シャモを打倒し,自らを解放せよ」の部分の修正に進む。
    この修正は,結局つぎのようになる:

      萱野茂『アイヌの碑』(朝日文庫) , 朝日新聞社, 1980.
    pp.193, 194
    アイヌはアイヌ・モシリ、すなわち〈日本人〉が勝手に名づけた北海道を〈日本国〉へ売ったおぼえも、貸したおぼえもございません。 しかし今となって、北海道に住んでいる〈日本人〉を〈日本本土〉へ帰れと言っても、そう簡単に帰れるものでないことは承知しています。 そんな実現不可能なことをわたしは言いません
     わたしは、今このアイヌ・モシリに住んでいるわたしたちも〈日本人〉も一緒になって、このアイヌ・モシリの自然を守りたい。 今まで何かと差別されてきた先住者のわたしたちアイヌの生活の向上のために、思い切った政策を実行して欲しい。
     家を不自由している人には家を建てて入れること。
    向学心に燃えても家庭の経済的事情で進学できない人には国費を出してやること。
    数の少ないアイヌだけでは国会議員、道会議員を選出することができないので、それを選出できる法律や条例をつくること。
    アイヌ語を復活させ、アイヌ文化の大切さを教えるため、希望する地域にはアイヌ語教育をする幼稚園、小・中学校、高校、大学を設置する。
    そして、これらに必要な経費は国や道が出す。
    元々の地主に今まで払わなかった年貢を払うつもりで出すこと‥‥‥


    即ち,"アイヌ"イデオロギーは,解放イデオロギーから特権イデオロギーに変わる。
    "アイヌ"イデオロギーの歴史は,解放イデオロギーから特権イデオロギーに変わっていく歴史である