Up 家系 作成: 2018-12-24
更新: 2018-12-24


      高倉新一郎 (1974), pp.144,145
    家系は特に重んぜられた。
    各家では神を祭る時の木幣につける特別の家紋を持っていた。
    これは家長が祭りの司祭となる資格が与えられた時使用を許されるもので、それぞれの属する家系を表していた。
    そして家紋の系統を等しくする者は同一家紋の者として特別に親しく扱われる。
    たとえ遠く離れて住んでいても、祭祀には招待し、参加してもらった。
    曾長はこの家系を正しく選ばれた。
    男の家紋に対して女にはウプソロ (隠し腰帯) があり、成人となると母又は近くの目上の婦人から授けられ、一生肌身を離さずにしめ、死んだ後も来世で加入する群れがこの形によって決められると考えられていた。
    ためにウプソロは男の家紋と同様女の系統を明らかにするものとして、それぞれの系統によりその形が違っていた。
    同一系統のウプソロを持つ者はシネウプソロ (隠し腰帯を一つにする者) と呼ばれ、特に葬式や供養の際特別の役割りを果たさねばならないと同時にシネウプソロの者同士の結婚は禁ぜられていた。
    すなわち父の系統の兄弟姉妹やいとこ同土の結婚は許されたが、母の系統の兄弟姉妹やいとこ同土の結婚は忌避された。


    引用文献
    • 高倉新一郎 (1974) :『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974