Up 「アイヌ政策推進会議」のゴール 作成: 2017-01-23
更新: 2017-01-23


    「アイヌ政策推進会議」のプロダクトアウトは,つぎの二つである:
      a. 「アイヌ観光」
      b. 「アイヌ特権」


    「アイヌ観光」の利権グループは,つぎの3種類である:
      a1 「公共事業」産業
      a2 アイヌ協会
      a3 観光関連産業

    「アイヌ観光」の項目ではっきり得をするのは,「公共事業」産業とアイヌ協会である。
    観光関連産業は,得を期待するといったところである。
    実際,観光関連産業としては,かつての「アイヌ観光」ブームのときのように「アイヌ」が観光客を呼び込むことを期待するわけであるが,これは無理である。

    かつての「アイヌ観光」ブームでは,ひとは「アイヌ」が本当にいると思って「アイヌ観光」地を訪れた。
    北海道だとどこの家にもクマの木彫りが置かれていたが,それはアイヌの民芸品と思われていたのである。
    いまの情報社会では,「アイヌ」が「アイヌ」プレイヤーであることが,わかってしまう。
    「アイヌの民芸品」が,観光用に創作されたものであることが,わかってしまう。

    「アイヌ観光」の項目では,テーマパークとして「民族共生象徴空間」を建設する。
    「民族共生象徴空間」は,登別温泉の客に対し「そばに熊牧場がある」に加えて「少し足を伸ばせばアイヌテーマパークがある」と言えるようになる,といったくらいのものである。
    それは,早晩「箱物公共事業」だったことがはっきりする。


    「アイヌ特権」の利権グループは,つぎの2種類である:
      b1 大学
      b2 アイヌ協会

    「アイヌ政策推進会議」の施策項目に「高等教育機関への進学支援等」がある。
    少子化で経営に苦しんでいる大学は,国費で「アイヌ子弟」が大量に送り込まれるようになることを,期待する。
    アイヌ協会は,この「アイヌ特権」によって会員をつなぎとめられることを,期待する。

    ただし,大学が期待するような内容で「高等教育機関への進学支援等」の項目が実現することは,無理である。
    金額が大きくなるほど,「アイヌ認定」が問題になり,これを行うことの無理が明らかになるからである。

    実際,この項目は,アイヌ協会にとってヤブヘビになり得る。
    いまは,アイヌ協会に「アイヌ認定」が丸投げになっていて,「アイヌ特権」は「アイヌ協会員特権」に他ならないのだが,この実態が暴露されることになるわけである。

    そして,国についても,「アイヌ名簿」をつくってよいのかという問題になる。

    「アイヌ政策推進会議」は,「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案」(2008) の後始末である。
    この決議案は,北海道利権の族議員である鈴木宗男・町村信孝等の執拗かつ強引な手法で,実現になったものである。 ( 「アイヌ民族/先住民族」と "アイヌ"予算を盗る戦 )
    もともと,「アイヌ民族/先住民族」は歴代内閣の認めるものではなかった。
    「決議案」は,国会議員がドタバタで決議してしまったものである。
    「民族」「先住」の意味を考えもせず,ただムードで決議してしまったのである。

    国が「アイヌ名簿」をつくることが案件になれば,「アイヌ名簿」の意味が自ずと俎上に載る。
    そして「民族」「先住」の意味が改めて問われることになる。
    たいした「アイヌ学者」はいないとはいえ,「学者」の出番ということにもなってくるわけである。


    「アイヌ政策」は,政権にとってやっかいな問題である。
    「アイヌ政策推進会議」は,「アイヌ民族/先住民族の権利」が論題にならないよう,巧妙に運営する必要がある。
    この役は,海千山千の政治家でなければ務まらない。
    そして内閣官房長官の菅義偉が,座長となりこれを務めているというわけである。