旭川の "アイヌ" から,旧法『北海道旧土人法』の廃止を求める声が上がる。
旭川市長がこれを受けて,全道市長会に諮り,廃止の決議をとる。(1970)
これに対し,ウタリ協会が,「ただの廃止」に反対。
旧法に代わる「アイヌ特権」型新法の実現を,方針にする。
小川隆吉『おれのウチャシクマ』, 寿郎社, 2015.
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p.130,131
当時、旭川市長五十嵐広三氏が旭川アイヌ協議会の決定をうけて、北海道旧土人保護法と旭川市旧土人保護地処分法を廃止することを全道市町村長会議の議題として提出するというのだ。
私は札幌支部結成の準備中だったが、これは無視できないと思った。
会場は岩見沢市。
ウタリ協会本部がこれを知ったのが二日前。
突然のことに驚いたウタリ協会理事、浦河から向井さん、静内から秋田さん、平取から貝沢正さん、鵡川から阿部(注8)さん、白老から野村さん、事務局長葛野守市さんそれに私。
七人が抗議のために旭川市役所に向かった。
市が用意したホテルの一室で、今回の提案はウタリ協会の合意が無いこと、取り下げてくださいという挨拶から始まった。
五十嵐氏は次のように述べた。
この法律は100年を経過し法律としての機能はなくなった。
市政を進めるうえで妨げにこそなっても今後旭川アイヌが生活する上で使える条文は全て削除されていること、旭川のアイヌが一致して廃止に賛成していることの二点をあげた。
これに対し協会理事は次のように反論した。
旭川アイヌの意思というが70名前後で道ウタリ協会会員数とはケタがちがう。
まして無条件廃止などとんでもない。
今後この件については反対することを告げて物別れに終わった。
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