Up 『先住民族法』: 要旨 作成: 2016-12-09
更新: 2016-12-09


    「アイヌ法」は,ここまでつぎのように進んできた:
    1. 『北海道旧土人保護法』(1899)
       ──「アイヌを農業で自立させるための法」
        (これは失敗)
    2. 『アイヌ文化振興法』(1997)
       ──「"アイヌ" を生活保護するための法」
    「アイヌ法」は,これで終わりになるのではない。
    まだ先がある。
    それは,『先住民族法』である。

    『先住民族法』の意味は,つぎのものである:
      「"アイヌ" に自治をさせるための法」
    そしてこれの中身は,つぎのものである:
    1. "アイヌ"団体に,「自治」名目の資金供与 (一時と年度毎)
    2. "アイヌ"団体が,供与された資金を自由に運用


    『先住民族法』盗りの(いくさ)は,『アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案』(2008) を以て,国会という外堀を埋めた。
    これに続くのは官邸の攻略であるが,これはつぎのようなところまで来ている:
     「理事長メッセージ」(2016) /アイヌ協会HP  
     
    新たな法律制定については、アイヌ政策推進会議が開催された昨年10月1日も、総理官邸において国が主体となった総合的な政策の根拠となる法律の制定のための要望書を高橋知事と並んで菅官房長官に手渡したところですし、本年3月28日にも鈴木宗男新党大地代表のご配慮により、菅義偉官房長官に直接お会いし、改めて要望書を手交し、立法への検討に着手したいとの前向きな意向を伺ったところです。


    ここで,つぎのテクストを引く:
     http://asahikawaramat.blogspot.jp/p/blog-page_09.html)  
     
    2009年6月25日
    内閣総理大臣  麻 生 太 郎 様
    内閣官房長官  河 村 建 夫 様
    アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会
    座  長    佐 藤 幸 治 様

              旭川アイヌ協議会     
              アイヌ・ラマット実行委員会

     (中略)
     周知のように、2007年9月13日に国連総会で「先住民族の権利に関する国連宣言」(以下、「権利宣言」)が日本政府も賛成して採択されました。この権利宣言は、支配民族が先住民族に対して一方的に植民地化と同化政策を押し進め、「先住民族の生得の権利、とくに土地、領域および資源に対する諸権利」を奪い併合したことを「歴史的な不正義」(前文第6段)と断定しています。
     その上で、この歴史的な植民地支配に対する補償・賠償も含めて「世界の先住民族の生存、尊厳および福利のための最低限の基準」(第43条)として、先住民族の政治的自由を保障する自決権(第3条)を承認し、土地・資源と賠償の権利(第26条・第28条)、民族文化の享有と伝承の権利(第11〜第13条)、教育の権利(第14条)などの権利回復を宣言しています。
     この権利宣言を背景にして、2008年6月6日に衆・参両議院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」(以下、「国会決議」)が採択され、現在、日本政府も内閣の諮問機関として「アイヌ政策に関する有識者懇談会」(以下、「有識者懇談会」)を設置して提言を求めるなどアイヌ政策の見直しを進めています。
     (中略)
     日本政府は速やかにアイヌ民族を真に先住民族と認めるとともに、アイヌ民族の先住権・自決権を尊重し、歴代の日本政府が採用し現在まで続いてきたアイヌ民族に対する同化政策・植民地政策を撤回すべきです。その上で、アイヌ民族を主体とした協議・協力によって、「保護」「恩恵」ではないアイヌ民族の犠牲への謝罪・賠償も含めて正当な権利回復を行うべきです。そうしてはじめてアイヌ民族との間で対等・平等な関係が生まれ、日本社会・日本人に真の人権と民主主義が醸成され、国際社会において名誉ある地位を占めることができると思います。日本社会のアイヌ民族に対する蔑視、無関心・無自覚さは従来のアイヌ政策が生み出したものであり、アイヌ政策は早急かつ根本的に転換されなければなりません。私達は、こうした趣旨から下記の要求を申し入れます。なお、この要求は旭川アイヌ協議会の総会で決議されたものであり、アイヌ・ラマット実行委員会も全面的に支持するものです。


    (1)日本政府及び天皇は、アイヌモシリ植民地支配・同化政策の歴史的な責任を認め謝罪を行うこと。
    (2)日本政府は、先住民族アイヌの生得の権利、とりわけ土地、領域、資源を奪ってきた賠償として5兆円を支払うこと。また、アイヌ民族に対する強制移住、強制連行、さらに虐待・虐殺などの人権侵害についてアイヌ民族の関与する被害の調査の上、その歴史的責任に対して賠償を行うこと。
    (3)アイヌ民族に対して、アイヌモシリの国有地・公有地と天然資源を返還し、漁業権・狩猟権・伐採権などの権利回復を行うこと。いわゆる「北方領土」に関してアイヌ民族の自決権を認め、その他のものも含め原状回復の困難な土地・天然資源の利用に関しては国の責任で代償措置をとること。
    (4)国会と地方議会にアイヌ民族の特別(民族)議席を設けること。
    (5)日本政府は、アイヌ民族が自主的に運営を決定し、幼児期から高等教育までアイヌ語を中心にアイヌ文化・歴史等を学べる教育機関を設置してその財政的保障を行うこと。日本の公教育機関で、アイヌ民族の言語を学べ、アイヌ民族の立場からその歴史と文化への正しい理解を醸成する系統的な教育カリキュラム・制度を保障すること。
    (6)全国のアイヌ民族の実態調査を行い、アイヌ民族の先住権・自決権に基づく施策を保障するアイヌ民族法を制定すること
    (7)日本政府は、アイヌ民族の墓地を荒らした遺骨収集の経緯を調査するとともに、その返還を速やかに行うこと。当該(返還)地域に納骨堂を国の責任で建設すること。   


    この中に「5兆円」が出てくる。
    常識は,この額に対し「ばからしい」とリアクションすることになる。
    しかし,論理では,こうなるのである。
    この場合の正しいリアクションは,「よくわかっているじゃないか」である。

    『先住民族法』を立てたときの先住民族資金供与は,「5兆円」はふっかけだが,多額になるのである。
    この多額の金の行き先は,「アイヌ代表機関」ということになるから,アイヌ協会である。
    アイヌ協会は,すなわちアイヌ協会幹部とそのファミリーである。
    この必然の流れを,果たしてどれほどの者がわかっているのか。

    アイヌ協会理事長メッセージに出てくる高橋北海道知事は,業者の代表である。
    業者は,わかっている者たちある。
    業者は,利権に目ざとい。
    だから,北海道知事に,アイヌ協会と行動をともにさせるのである。

    業者の困る点は,「利権政治の先に何があるか」という考えとは無縁の者だということである。
    政治家の困る点は,「利権政治の先に何があるか」という考えをもたない者だということである。
    両方とも,目先の利で行動する者である。
    こうして,つぎのようになる:
      作物を増産しようとして,薬を使う。
      その薬が,生態系を壊す。