Up ウタリ協会と相和 作成: 2017-03-06
更新: 2017-03-06


      北海道新聞,2008-05-23.
    有識者懇設置を要請 道ウタリ協 
    政府側検討の方針
     北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は二十二日、首相官邸で町村信孝官房長官と会談し、政府がアイヌ民族を先住民族と認め、先住民族としての権利を審議する有識者懇談会を官邸に設置するよう求める要望書を提出した。政府高官は同日夜、国会決議が採択された場合、有識者懇設置を検討する考えを示した。
     町村氏は会談で、要望に対し「しっかりやります」と答えた。加藤氏は会談後、記者団に「世界では先住民族が認知されているが、国内ではアイヌ民族は置き去りになってきた」と述べ、有識者懇設置に期待感を示した。
     要望書はこのほか、アイヌ民族の社会的・経済的地位の向上のため、法的措置による総合的施策の確立も訴えている。
     会談には、超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」代表の今津寛自民党道連会長や鳩山由紀夫民主党幹事長らも同席した。

      北海道新聞,2008-05-23.
    アイヌ先住民族案を了承 超党派議連 
    来週内に国会決議の方針
     超党派の国会議員でつくる「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」(代表・今津寛自民党道連会長)は二十三日午前、総会を開き、アイヌ民族を先住民族と認めるよう政府に求める国会決議の原案を了承した。今後、各党の党内調整を経て決議案を決定し、来週内に国会決議を行う方針で一致した。
     総会には自民、民主、公明、共産、新党大地の北海道関連議員のほか、国民新党の亀井静香代表代行、新党日本の田中康夫代表が出席。同会の世話人である社民党の福島瑞穂党首は欠席した。
     今津氏は「すべての政党がそろった。ぜひ国会決議を達成したい」と述べ、全会一致での国会決議に期待感を示した。
     原案は政府に対し「アイヌ民族を言語、宗教、文化の独自性を有する先住民族として認めること」を要求。その上で「有識者の意見を聞きアイヌ政策をさらに推進し、総合的施策の確立に取り組む」よう訴えている。
     町村信孝官房長官は二十三日の記者会見で、原案で求める内容に関し「(先住民族の権利に関する)国連宣言に日本も賛成した重い事実があるので、この問題について前向きに考えていいのではと思っている」と表明した

      毎日新聞, 2008-06-06
    「アイヌは先住民族」初の国会決議、採択
    政府、認定に前向き
    ◇有識者会議設置へ
     アイヌ民族を先住民族と認定するよう政府に求める初の国会決議が6日の衆参両院本会議で、全会一致で採択された。これを受け町村信孝官房長官は両院本会議で、政府として初めてアイヌを「先住民族」と認識することを表明し、正式な認定に前向きな姿勢を示した。政府は今後、「アイヌ有識者会議」(仮称)を設置し、先住民族と認めた場合の先住権の内容などを検討する方針。アイヌの先住権を認めず北海道開発を優先してきた明治以来のアイヌ政策の転換につながる可能性が出てきた。
     決議は昨年9月に国連で「先住民族の権利宣言」が採択されたことにより、具体的な行動が求められていると指摘。「我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を厳粛に受け止めなければならない」とし、先住民族としての認定と総合的な施策の確立を政府に求めた。
     これを受け町村長官は「政府としては独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族との認識のもと、国連宣言を参照しつつ、これまでのアイヌ政策をさらに推進し、総合的な施策の確立に取り組む」と表明。政府はこれまでアイヌ民族について「先住性」は認めてきたが、「先住民族」との認識を示したのは初めて。
     アイヌの法的位置付けをめぐっては、1世紀近くにわたる差別の根源とされた「北海道旧土人保護法」に代わり、「アイヌ文化振興法」が97年に制定されたが、先住民族としての認定は避け、アイヌ語の普及や伝統的な歌や踊りの継承を目的とする内容にとどまった。そのためアイヌで作る北海道ウタリ協会は「先住性」を基に独自の文化や生活の保護・再生を進める総合的な施策の拡充を求めていた。
     同協会の加藤忠理事長は参院本会議を傍聴後、「本当に感動した。これまでのアイヌ民族に対する不正義に終止符を打ち、新たな視点でお互いを尊重する社会づくりの一歩にしてほしい」と語った。
     他国では米国やカナダ、オーストラリアなど先住民族を特定しやすい移民国家を中心に、憲法や法律で先住民族に自治権や居住地などを保障している。しかし、日本政府はこれまで、「国際的に確立された定義がない」と主張して先住民族の認定を避けてきた。【千々部一好】

     ■解説
     ◇国連宣言の「外圧」で動く  アイヌの先住民族認定へ向け、ようやく国会の意思が一つになった。昨年9月に国連で採択された先住民族の権利宣言、7月にアイヌの先住地・北海道で開かれるサミット(主要国首脳会議)という「外圧」が国会を動かしたとも言える。今後は政府がサミットまでに先住民族認定に踏み切るかが焦点となる。
     決議の動きは国連宣言を受けて始まった。自民党の今津寛衆院議員や民主党の鳩山由紀夫幹事長ら北海道選出議員が中心となり、7月の北海道洞爺湖サミットまでに先住民族認定を実現しようと超党派の議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」を3月に結成し、政府と水面下で調整しながら決議の文案をまとめた。
     ただ、政府・自民党内には過去のアイヌ政策を否定することへの抵抗感や、先住権として土地などの財産権、国会議席の民族枠などの政治的権利を要求されることへの警戒感が強い。同会が作成した当初の原案にはアイヌの歴史に関し「労働力として拘束、収奪された」「『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」などの記述があったが、自民党内の反発で削除された経緯もある。
     国連宣言は土地権や自決権、教育権など、先住民族の権利として46項目を挙げている。政府は、有識者会議で具体的な先住権の中身を検討することになるが、国連宣言に賛成しながらアイヌの先住権を認めない「内と外の使い分け」はもう許されない。【千々部一好】