Up 作成: 2016-12-03
更新: 2016-12-03


    Bird, Isabella (1831-1904)
    Unbeaten Tracks in Japan. 1880
    金坂清則 訳注 『完訳 日本奥地紀行3 (北海道・アイヌの世界)』, 平凡社, 2012.
     
    p.188
    [森への] 道中で私は丸木舟[チ] に乗った二人のアイヌが、磯波を浴びながら浜に上がるのを見た。
    彼らは100マイル[160キロ] 近くもこれを操ってきたという。
    川用の丸木舟[チ] は一本の丸太を削り込んで作られ、一艚作るのに二人で五日もあればできるが、長さが25フィート[7.5メートル]あるこの舟を調べてみると、舟は二つの部分からなり、舳先(へさき)から(とも)までずっと非常に強力な樹皮でつながれていて、舟縁(ふなべり)も同じようにつなぎ合わせて高くしてあることがわかった。
    彼らは、このような二つの部分からなる舟を作ることによって、自分たちが荒海や磯波を受けるところでも十分耐えることができると考えているのである。
    彼らが作る樹皮の綱[ヤ]は見事であり、細い撚糸(よりいと)から九インチ[23センチ] もの太さのある太綱まで、あらゆる太さに編む。