Up "アイヌ" によるアイヌ否定 作成: 2016-11-25
更新: 2016-12-06


    欧米列強の植民地主義に曝される徳川幕藩体制は,<旧態>として自らを現すものになる。
    そして,身内のうちから,欧米列強に並ぶことをよいこととし,<旧態>を潰さねばならないと考える「新人類」が現れる。
    「維新の志士」である。
    そして,彼らは,明治維新を起こし,徳川幕藩体制を滅亡させる。
    欧米列強は,この滅亡の外からの力である。
    この外からの力には,「滅亡させてやる」のつもりは無い。
    最終的に滅亡させるのは,「滅亡させてやる」の意志をもった内からの力である。

    敗戦は,日本を<旧態>として現すものになる。
    そして,身内のうちから,欧米文化至上の考えをする「新人類」が現れる。
    彼らは,米食を恥じ,米食の害とパンの有利の論をつくる。
    そして,学校給食をパンにする。

    動物愛護の国際運動は,日本の捕鯨を<旧態>として現すものになる。
    そして,身内のうちから,捕鯨を国民の恥じと考える「新人類」が現れる。
    彼らは捕鯨の悪の論をつくり,ついに捕鯨を終わらせる。
    捕鯨は,反捕鯨の外圧がこれを滅亡させるのではない。
    システムを最終的に滅亡させるものは,「滅亡させてやる」の意志をもった内からの力である。

    "アイヌ" 住民の多い地域は,「アイヌ」のことばが出てくることが自ずと多い。
    ここに「アイヌ差別反対」のイデオロギーが入ってくる。
    「アイヌ」のことばは,使用が憚れるものになる。
    "アイヌ" から「アイヌ」のことばが出るのはよいが,"シャモ" はしてはならない。
    「アイヌ差別反対」が成功したわけである。
    しかしこの「成功」の中身は,「アイヌ」をタブーにしたということである。
    「新人類」の手によるアイヌ滅亡が,また一つ成ったわけである。


    アイヌは滅亡した。
    滅亡は,<滅亡させられた>である。
    滅亡させたものは,滅亡させる力である。

    滅亡させる力には,外からと内からがある。
    アイヌの滅亡は,アイヌを滅亡させる外からの力と内からの力がある。

    外からの力は,象徴的に「和人」と呼ばれる。
    和人には,「滅亡させてやる」のつもりは無い。
    外からの力にとって,滅亡は,「滅亡させてしまった」「滅亡までいかせてしまった」である。

    一方,内からの力は,「滅亡させてやる」の意志をもった力である。
    アイヌを最終的に滅亡させたものは,内からの力である。
    その内からの力を振るったのは,アイヌの中の「新人類」である。