警察"アイヌ" には,幼稚・独り善がりの者がなる。
ここで,「幼稚・独り善がり」の内容は,「物事が多面的であることを知らない」である。
物事が多面的であることを知らないのは,物事が多面的であることを学んだことがないからである。
自分が「正義」と思うことを,世界の正義にする。
自分の「正義」に合わないことは,世界の不正義であり,取り締まらねばならない。
自分が警察になって,取り締まらねばならない。
この者の思考回路は,「公安」である。
この思考回路は,改まる契機がない。
周りが,これに追従する者ばかりだからである。
「追従」は,2通である:
- 刺激しない (法人)
- 騙される (アイヌを知らない者)
つぎは,法人の「追従」(<刺激しない>) である:
小川隆吉『おれのウチャシクマ』, 寿郎社, 2015.
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p.119
この事件の頃、関西の進学塾河合塾がアイヌの問題でしくじったんだ。
何でも、授業で使う教科書っていうのか本のなかで、「アイヌは最早や存在していない」という意味のことが書いであったそうだ。
そのことが、関西の部落解放同盟を通じて山本一昭に──当時、結城庄司が亡くなって山本がアイヌ解放同盟の代表だった──、それから俺の所に伝わってきた。
それで、その河合塾に電話を入れて確かめたんだ。
そしたらなんと三人も飛行機で飛んできた。
生活館に入るなり今で言う土下座みたいな恰好をして「アイヌをテーマにして十分な勉強をしていなかった。
申し訳ない」って言う。
そのあと、関西の大学で講演をしてくれってきて、関西大学と神戸学院大学に、二回話しに行った。
塾の働きかけだったのかどうか背景は知らなかったが。
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そしてつぎが,アイヌを知らない者の「追従」(<騙される>) である:
小川隆吉『おれのウチャシクマ』, 寿郎社, 2015.
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p.119,120
そのあと、関西の大学で講演をしてくれってきて、関西大学と神戸学院大学に、二回話しに行った。
塾の働きかけだったのかどうか背景は知らなかったが。
直前に、札幌での事件があったのでそのことを中心に話したが、両方の大学は大きな階段教室で沢山の学生が聞いていた。
話し終わったら、手の挙がること、つぎつぎと手が挙がって質問ぜめだった。
大学で初めてアイヌのことやら差別の実態を知ってびっくりしたんでないか。
p.112,113
この事件をきっかけにして、アイヌに対する理解を深めるためにということで、教員を対象にした札幌近辺のアイヌ関係の場所をまわる、市教委主催のフィールドワークが行われた。
応募者が多くて三回もやったよ。
俺もその企画に参加して、北大の遺跡保存庭園、アイヌ納骨堂、対雁の樺太アイヌ慰霊碑などをまわった。
俺は説明役だったが、江別では社会科の先生が「江別の夜明け」という話もした。
道立埋蔵文化センターにも行った。
パスは一台満員で、参加者は碑の前で写真を撮ったり、南樺太の移民が天然痘・コレラで400人も命を奪われたと聞いて驚いていた。
この時、帰りのパスの中でガイドさんに「今日は本当に勉強になりました」と礼を言われた。
参加者には感想文を書いてもらった。
感想文の反応はとっても良かった。
「知ると知らないとではこんなにも違うものか」なんてのもあった。
感想文は道内出身者と道外出身者とに分けであったんだが、道外の人の方がいい反応だった。
部落差別などを知っているのと、道内でアイヌを知らないのとでは違いが出るんだな。
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