小川隆吉『おれのウチャシクマ』, 寿郎社, 2015.
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p.111,112.
昭和55年(1980年)頃だ。札幌市白石区の小学校で、二月末、新一年生を持つ父母に入学に対する説明会が開かれた。
教頭は、子どもにとって学校がいかに大切かひもとく中で、「もし教育をしなければアイヌのようになってしまう」と話された。
‥‥‥
学校での話を聞いた結城庄司から電話があって、抗議に行くから一緒に行こうと言ってきた。
行く前に二人で「この事件を契機にして、札幌市に具体的な要求を出そう」と話し合った。
ウチの車で学校に行った。
校長室で校長・教頭と会った。
結城は静かそうに「以上の話は事実ですか」と確かめた。
校長は「間違いありません」と答えた。
結城は「校長先生、教頭先生はアイヌに対してどのような認識をしているのですか」とたずねた。
校長は素直に「私はいろいろ勉強したつもりですが、アイヌについては深く勉強したことがありませんので良く知らないのです」と素直に答えた。
教頭は何か言っていたけどその内容は何だったか思い出せない。
校長は「アイヌの皆さんには大変ご迷惑をおかけました」とも言った。
結城は、「この間題は札幌市教育委員会の方へ持って行きます。いいですね」と念を押した。
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刑事事件に対して，警察署。
労働問題に対して，労基署。
そして，「アイヌ差別」事件に対して，ウタリ協会。
法人──少なくとも，学校法人──は，ウタリ協会にこの地位を与えた。
こうして，「抗議に行くから一緒に行こう。‥‥‥ウチの車で学校に行った。」という具合になる。
二人は，警察の＜威迫＞を振る舞う。
尋問し，そして告げる：
「この間題は札幌市教育委員会の方へ持って行きます。いいですね」
「この事件は，検察に上げます」というわけである。
ウタリ協会は，アイヌ系統者の代表ではない。
自分を勝手に「アイヌの代表」にしている者の集団である。
しかし，法人はウタリ協会を「アイヌ差別」事件警察と定め，上記二人は「アイヌ差別」事件の刑事をパフォーマンスする。
警察署・労基署とウタリ協会は，つぎの点で違う：
- 警察署・労基署は，法準拠。
員は，公務員試験で資格を得ることが要件。
- ウタリ協会は，無法。
ウタリ協会の員は，「アイヌの系統」が要件。
ウタリ協会の者が任意に「アイヌ差別」事件警察をやることに疑問が持たれないのは，《ウタリ協会の者が任意に「アイヌ差別」事件警察をやる》のことの意味が＜思考停止＞されているからである。
ウタリ協会員であれば「アイヌ差別」事件警察をやってよいということに疑問が持たれないのは，《ウタリ協会＝アイヌ系統者の代表》の＜幻想 (思い込み)＞がもたれているからである。
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