Up 「アイヌの終末」の表現者 : 要旨 作成: 2016-07-12
更新: 2016-09-27


    「アイヌの終末」が描かれている文献は,つぎの一書である:
      砂沢クラ, 『ク スクップ オルシペ 私の一代の話』, 北海道新聞社, 1983.


    なぜこの一書か?
    理由は単純である:
    1. 「アイヌの終末」を自ら生きた者であって,「アイヌの終末」が描かれた文書をつくった者が,砂沢クラ (1897 − 1990) の他にはいなかった。
    2. 外部者であって「アイヌの終末」を描ける者は,人類学者・民俗学者の資質を持ち,かつアイヌの中に深く入り,長く観察してきた者であるが,そのような者は現れなかった。

     註 : 人類学者・民俗学者の資質を持ち,かつアイヌの中に深く入り,長く観察してきた者に,バチェラーがいる。
    しかし彼のアイヌ研究の著作 ( The Ainu and Their Folk-Lore ) は,「アイヌの終末」が描かれたものではない。

    こういうわけで,砂沢クラの『ク スクップ オルシペ 私の一代の話』は,貴重な書である。