Up 系統樹の形──ひとり勝ちと分化 作成: 2019-01-22
更新: 2019-01-22


    集団を,家系の集合 {F1, F2, ‥‥‥, Fn } で見る。
    生物進化の系統樹が示唆するところでは,集団の遷移は<家系 F1, F2, ‥‥‥, Fn の共存共生>のようにはならない。
    即ち,つぎのようになる。
     1゜ 一つの家系Fk が残り,他は断絶する。
     2゜ 併せて,集団はFk の分家の集合 {Fk1, Fk2, ‥‥‥, Fkm } のようになる。
     3゜ 以上の繰り返し。

    実際,分家はねずみ算式に生まれるわけであるから,一つ残る度にどこかの一家が断絶しないと,地上は家で溢れかえることになり計算が合わない。
    そしてこの数合わせは,<全体で調整>の形ではなく,<一人勝ち>の形で実現されるというわけである。


    「アイヌの系統」は,このように捉えることになる。
    家柄を誇る一家が存在している地方アイヌは,ほぼ,その一家の家系溯行のお終いになるアイヌ (家系が父系で表現されるところでは男アイヌ,母系なら女アイヌ) の子孫である。
    どの時点でも,アイヌ全体は比較的少数の家系で尽くされるように存在している。
    そしてその陰で,厖大な数の家系が断絶している。