Up エミシとアイヌの関係 作成: 2020-02-02
更新: 2020-02-03


    狩猟採集生活者は,農耕生活者と領土を争うことになる。
    時の権力が農耕生活者を基盤にするものであり,そして史記をつくるものであるならば,その史記には狩猟採集生活者との戦いが自ずと記述されることになる。

    これに該当するものは,「蝦夷(えみし)」が出てくる史書である。
    その「蝦夷(えみし)」は,東北の狩猟採集生活者である。

    こうして,「東北の蝦夷(えみし) = 東北の狩猟採集生活者」「東北の狩猟採集生活者 = 東北のアイヌ」の2式が立った。
    そして史書に出てくる「東北地方の狩猟採集生活者」の名は「蝦夷(えみし)」に限る。
    そこで,「東北の蝦夷(えみし) = 東北のアイヌ」の等式がしぜんに思われてくる。

    しかし,「東北の蝦夷(えみし) = 東北の狩猟採集生活者」「東北の狩猟採集生活者 = 東北のアイヌ」の2式には,「時間差」を考慮しなければならない。
    実際,「狩猟採集生活者」といっても,その文化形態はいろいろであり得る。
    「進化」の考えに立てば,狩猟採集生活者に対しても「主役交代」の歴史を考えねばならないわけである。

    この進化史は,わかりそうもない。
    実際,「東北の蝦夷(えみし) = 東北のアイヌ」となるのはどんな場合か,考えてみよ。
    それは,《「蝦夷」と題しアイヌ文様がその中にある奈良・平安朝期の絵が発見される》といった類の,ありそうもない場合に限られるのである。


    結論 : 「東北の蝦夷(えみし)」が「東北のアイヌ」かどうかは,いまとなっては分からぬことである。