Up 「解放」の中身に思考停止 作成: 2017-02-26
更新: 2017-02-26


      河野本道「『旧土人保護法』にまつわる人間関係の歴史的分析と
         将来における方法」,『コタンの痕跡』,1971. pp.335-348.
    p.337
    この法はアイヌ系の人々が和人によって、そのうちでもとくに帝国主義者たちによって無理やり押しつけられたものである。
    日本帝国主義者たちはこれをアイヌ系の人々に対して無理やり押しつけておきながら、あたかもアイヌ系の人々のプラスのために立法したごとく思きせがましい態度をとってきた。
    アイヌ系の人々にとっては、自らの生活圏に帝国主義者たちが侵入してこなければそんな立法がなされる必要はなかったのだ。
    アイヌ系の人々はそんな法を与えられるよりも、帝国主義者に従来の生活圏を侵されぬ方が良かったはずである。
    和人が侵入してこなければ‥‥‥
    「アイヌ」自称者が,必ず使う言い回しである。

    システム論/科学だと,「侵入してこなければ」「侵されぬ方が良かった」の言い方はナンセンスになる。
    システムのダイナミクスは,<侵す・侵さない>といった意志ではないからである。
    「和人が侵入してこなければ‥‥‥」は,悪者論のことばである。
    いまの時代に「アイヌ」を自称している者は,悪者論を世界観にしている者たちである。


    悪者論は,思考停止である。
    論より証拠,どこの誰が「悪者」に該当するのかを,その理由とともに,ノートに書き下してみよ。
    1行も書けない自分を見出すことになる。

    悪者論は,思考停止をやめることが,これから脱けることになる。
    「解放」イデオロギーは,思考停止をやめることが,これから脱けることになる。
    「悪者」に代入できる具体的個人名は,無い。
    人間は,そんな機能的にはできちゃあいないのである。

    翻って,「解放」イデオロギーの者でいることは,「解放」の中身に思考停止することである。