Up 「社会主義」幻想 : 要旨 作成: 2017-03-16
更新: 2017-03-16


    "アイヌ"イデオロギーは,1960, 70年代の社会主義イデオロギーが核になっている。
    その社会主義イデオロギーは,社会主義国を理想国家の実現であると信じるものであった:
      社会主義国なら,こんな不正義は無い/許されない

      向坂逸郎『わが資本論』, 新潮社 (新潮選書), 1972.
    pp.96-98.
    「山紫水明の所」は、人間の死と悪水とに満ちている。 かつて美しかった大牟田川の水は、泥水と変った。 その色は、口舌を絶する複雑な色を呈している。 それは正に一匹の生物も生存を許されないほどに、悪臭と毒物にみちている。 ‥‥‥
    何故大牟田川が悪水になったのだろうか。
     大牟田川の上流に三井資本の利潤生産所が後から後から出来たからである。
    正確にいうと、労働者の血と脂を搾れるだけしぼって、その儲けをもっぱら東京の金庫に送って、大牟田にどぷ水と悪臭と汚ない空気とを残したからである。 ‥‥‥
    川が泣いている。 たしかに、昔のような美しい川にしてかえしてくれと泣いている。 ‥‥‥
    近隣の川や町を汚染させる工場は、ただちにこの運営を禁止する国もある。
    ソ連である。
    近代技術が川や湖や町を汚染させないように化学的処理をなさないで、工場を経営することを許さない国が、ソ連である。
    社会主義ソ連は、国が広いから、また技術がおくれているから、公害がないのではない。
    人間の生命が尊いことを立国の精神とするから、公害をもたらすおそれのある工場を禁止する法律をつくることが出来るのである。
     独占資本の至福の天国は日本であるらしい。
    独占資本のすること、人間の生命を片輸にし、生命を奪うことが、何の罪にもならぬ。
    三池炭鉱で五百人近くを一挙に殺しても、何の罪にもならぬ。
    日本全国で、独占資本の公害が、なんの罪にもならぬものとしてまかり通っている。
    人間の生命を奪って、僅かの金銭で処理できる。
    女性の貞操も金銭に替えることが出来る。

    この修辞法は,"アイヌ"イデオロギーの修辞法と同じである。
    ──「アイヌモシリ」が「大牟田」に,「和人」が「三井/独占資本」に換わっている。
    "アイヌ"イデオロギーを理解するうえで,これの時代背景の理解が必須となる所以である。