Up 縫針・糸 作成: 2018-12-01
更新: 2018-12-01


      菅江真澄 (1791), pp.541,542
    ものくひはてて,いさ出たちなんほりに,宿料(ブンマ)とてひと夜ねししろ(代)に,あるしのものへ,いろいろ糸に鍼をとりそへてとらすれば,メノコども(シウニ)(フウレ)(レタル)(クンニ)()(ケム)とて,ラヰクイロシカレといひ,ピルカとなかやかにいひもて,よろこべる色の見ゆ。
    この宿を立いつればアヰノどもサランバサランバとシャモ詞にいへば,女子(メノコ)善去(ピルカノヲマン)とて手を揚れば,(ヲツカヰ)手をすり手をあげ,髭を撫て別ぬ。
     ( ‥‥ ラヰクイロシカレとは,これはこれは過分なりといふ意もしか聞へ,さやうなりというこゝろもあり。‥‥ )