Up 捨置場 作成: 2018-11-21
更新: 2018-11-21


      Bird (1880), p.133
    山間(やまあい)[内陸] の集落[コタン] は見かけ上は実に清潔で、[本州の村とは違って] 塵芥(ごみ)が散らかったり山積みになっておらず、肥溜(こえだめ)もない。
    乱雑さは皆無である。
    悪臭も家の内外を問わずまったくない。


    村上島之允 (1809),「二 (耕作の部)」から引用:
     簸事で出た糠を捨てる (ムルヲシヨラ)


     糠を捨る所に立て在る神 (ムルクタウシウンカモイ)
     「 ラタネの二種は神より授け給へるよしいひ傳へ、尊み重んずる事初に記せる如くなるにより、およそ此二種にかゝわりたる物は(いささか)にても軽忽にする事ある時は、必ず神の罸(罰)を蒙るよしをいひて、それより出たる糠といへども敢て(みだり)にせず、捨る所を住居のかたはらに定め置き、イナヲを立て、神明の在る所とし尊み置く事なり。  
    唯糠のみに限らず、凡て二種の物の朽たる根、あるは枯たる葉、其餘二種の物にあづかるほどの器具は臼、杵、(とう) (鍋, 釜)、椀より初め爐上に穂を干すの簾、あるは自在等の物に至るまで、破れ損ずる事あればひとしく是を右の所に捨置て他に捨る事決てあらず。
    殊に其破れたる器具を水を遣ふの事に用ひ、及び水中に捨る事(など)は甚忌みきらふ事なり。」



    引用文献
    • 村上島之允 (1809) :『蝦夷生計図説』
    • Bird, Isabella (1880) : Unbeaten Tracks in Japan.
        金坂清則 訳注 『完訳 日本奥地紀行3 (北海道・アイヌの世界)』, 平凡社, 2012.