Up アニミズム 作成: 2018-12-23
更新: 2018-12-23


      高倉新一郎 (1974 ), pp.129,130
    そして特別な地形の場所を通う時は必ず特殊の作法が伴った。
    たとえば峠のある所には必ず木幣を捧げて通った。
    北海道の地名に稲穂峠というのが方々にあるのがこれである。
    またけわしくて通り抜けられないような岬でアイカップと呼ばれる地名が所々にあるが、こうした岬の上には古く神を祭る場所があり、平生も帆を下げ櫂手を止め、木幣を捧げ、もしくは岬に向かって矢を射て通った。
    漁猟や戦争などにおもむく際、その神に祈ってその崖とか岩とかに矢を射て運勢を試したという。
    アイカップとはアイヌ語で矢が届かないという意味である。
     ‥‥
    旅行は非常に慎重で夢見が悪かったり凶兆があったりすると中止した。
    旅に出る時には必ず平安を祈る祭りをし、危険な所を通る時、危険にあった時などは占いをし、神に木幣を捧げた。
    岬を通る時は帆を下げて、木幣その他の供物を捧げて通った。



    引用文献
    • 高倉新一郎 (1974 ) : 『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974