Up 雅語が用いられる場合 作成: 2019-01-11
更新: 2019-01-11


      久保寺逸彦 (1956), pp.2-5
    アイヌ語にも、日常語 (口語) と一種の雅語 (特に、叙事詩においてよく発達している) との別を生じた。
     ‥‥‥
    雅語は、日常語を、「普通の言葉 yayan-itak」と呼ぶのに対して、「飾った言葉 a-tomte-itak」と呼ばれ、また「神々の言葉 kamui-itak」であると信じられていた。
    雅語の用いられる場合を挙げれば、
     (1)  正式の会釈・会見の詞 Uwerankarap-itak、
     (2)  神禱の詞 Kamui-nomi -itak、
     (3)  誦呪の詞 Ukewehomshu-itak (悪魔祓いの際、神々や人々に対して、あるいは、互いに恙なきことを祝福し合う際などに用いられる)、
     (4)  談判の詞 Charanke-itak、
     (5)  詞曲の詞 Yukar-itak
    等がそれである。


    引用文献
    • 久保寺逸彦 (1956) :「アイヌ文学序説」, 東京学芸大学研究報告, 第7集別冊, 1956
      • 『アイヌの文学』(岩波新書), 岩波書店, 1977