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久保寺逸彦 (1956), pp.2-5
アイヌ語にも、日常語 (口語) と一種の雅語 (特に、叙事詩においてよく発達している) との別を生じた。
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雅語は、日常語を、「普通の言葉 yayan-itak」と呼ぶのに対して、「飾った言葉 a-tomte-itak」と呼ばれ、また「神々の言葉 kamui-itak」であると信じられていた。
雅語の用いられる場合を挙げれば、
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正式の会釈・会見の詞 Uwerankarap-itak、
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神禱の詞 Kamui-nomi -itak、
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誦呪の詞 Ukewehomshu-itak (悪魔祓いの際、神々や人々に対して、あるいは、互いに恙なきことを祝福し合う際などに用いられる)、
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(4) |
談判の詞 Charanke-itak、
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詞曲の詞 Yukar-itak
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等がそれである。
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引用文献
- 久保寺逸彦 (1956) :「アイヌ文学序説」, 東京学芸大学研究報告, 第7集別冊, 1956
- 『アイヌの文学』(岩波新書), 岩波書店, 1977
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