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高倉新一郎 (1974 ), p.260
アイヌの昔話を大別すると、現在あるものの由来を語る「なぜ話」と、和人の正直爺さんといじわる爺さんの話のような「ペナンペ (川上の者) パナンペ (川下の者) 物語」とがある。
「なぜ話」は、たとえばうさぎの足はなぜ早いとか烏はなぜ黒いとか犬はなぜ口がきけないかなどの疑問に答えるもので、
もとは神々が巫女の言葉を通じて自らの素性を明かした神話から出発している。
ただし、神話は神のより代すわなち巫者の口を通じて語られる一人称の形をとり、荘重な韻をふくみ、短い節ごとに神の叫び声が入り、いかにも神自体が語っているかのように語られた最後に「‥‥と〇〇 (神の名) がいった」という形式で語られるのに対し、
昔話はその形を踏まず、散文である。
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表に整理すると:
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昔話 |
英雄伝 (「ユカル」) |
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縁起 |
神語り (「カムイ・ユカル」) |
一人称の形をとり、荘重な韻をふくみ、短い節ごとに神の叫び声が入り、いかにも神自体が語っているかのように語られた最後に「‥‥と〇〇 (神の名) がいった」という形式で語られる |
昔話 (「オイナ」) |
散文 |
勧善懲悪 |
「ペナンペ・パナンペ」構成 |
引用文献
- 高倉新一郎 (1974 ) : 『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974
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