Up | 進化 | 作成: 2019-01-22 更新: 2019-01-23 |
「アイヌ」を主題化するときは,この「進化」を考えに入れる必要がある。 枝の分化・断絶は,生物進化の系統樹が示唆するところでは,<一人勝ち>の模様を描く。 そこでアイヌの系統樹は,つぎのように見ることになる:
これは,《アイヌ全体は,比較的少数の家系で尽くされるように存在している》ということである。 そしてその陰で,厖大な数の家系が断絶している。 以上の捉えは,アイヌリテラシーの研究において重要である。 一つの家系の断絶は,一つのリテラシーの断絶である。 <厖大な数の家系が断絶>は,<厖大な数のリテラシーが断絶>を意味する。 よって,ひとが「アイヌの口誦文学」のようなタイトルで紹介しているものは,実はアイヌリテラシーをジャングルに見立てたときの一草に過ぎないということになる。 本来ならとても「アイヌの‥‥‥」のような言い方はできないわけである。 ちなみに,日本リテラシー史は,断絶したリテラシーを古文書を利用して拾っていくことができる。 アイヌリテラシー史は,アイヌが文字をもたなかったため,断絶したリテラシーはずっと知られないままになる。 |