Up 家事 : 要旨 作成: 2019-02-09
更新: 2019-02-09


      串原正峯 (1793), pp.500,501
    ‥‥‥夫に能く仕へ、
    鯡漁の節は濱邊へ出、鯡の腹を鯖差を以て是をさき、数の子、白子等は撰む事はメノコの役なり。
    又は山へ行、薪木を取り飯料草の根を掘(り)
    アツシにて反物を織(り)
    水もメノコが汲事なり。
    シントコに水一盃 シントコとは桶をいふ事にて,貳斗入酒樽の明き樽を用ゆ 是を背に負ひ、家近き川へ行、水を汲み、背負ひ、桶に付たる縄を額へ懸け運ぶ。
    尤川近き所はキヤラシベにて運ぶも有 キヤラシベは手桶の事なり
    多くはニツシといふ物 是はカバといふ木の皮にて作る曲ものなり にて提歩行なり。
    此ニツシは水も入、又は運上屋へ酒など買に来る時是を用ゆ。
    風雅なる器なり。
    運上屋へ来りてもシャモ 日本人の事 に向ひ物いふ事を慎み恥らひ、無言にて差うつむきて居るなり。
    其所にアイノ居れば、(それ)を頼み用向をいひ出すなり。


    引用文献
    • 串原正峯 (1793) :『夷諺俗話』
      • 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.485-520.