Up 狩猟 : 要旨 作成: 2016-07-21
更新: 2018-11-19


       最上徳内 (1808), p.534
    鳥獣は弓矢を用。
    弓は丸木にしてオンコといふ木を用。
    オンコはあらゝぎなり。
    弦は鯨魚の筋を用れども、なければ木皮又麻をよりあはせて作る。
    矢はシヰキを用。
    シヰキはおにかやといふものなり。
    (やじり)を二段につくり、各ぬけ易き様になす。
    熊を射るとき熊かならず簇の集たる所を噛で抜去。
    此時簇ぬけて肉にとゝまるための用意なり。
    簇には毒をぬる。
    毒一法にあらず。
    其郷土によりて小異あり。
    烏頭(うとう) (トリカブト) をはなるゝことなし。
    足の長き蜘蛛(くも)、蕃椒、また水虫一種あり。
    その他の物を用るもあり。
    魚を射るにはきせるのやにを加ふるをよしとす。
    烏頭を製するに極て巧拙あり。
    和俗の芥子をかくに、手によりて気味を増といふの類にて、巧拙の外、人によりて果して毒の効、別なること有とぞ。
    これによりて聚落中にて某が製毒よしとて、もらゐて用ることなりとぞ。
    大熊を射て一()にして三、四歩もしくは五、六歩を走る間、忽(たお)る。
    又一足も迻さす死するもあり。


       Batchelor (1927), pp.780,81
     陸地での生き物は、北海道には沢山の動物がいて肉類も豊富である。
    ヒグマ(羆)の肉、鹿の肉、その他タヌキ(狸)、キツネ(狐)及び野兎も多くいるので食料に不自由することはなかった。
    ‥‥‥
    狩で獲った獣の肉だけでなく、ここには沢山のカモ(鴨)、ガン(雁)、ハクチョウ(白鳥)、エゾライチョウ(蝦夷雷鳥)、ヤマシギ(山鷸) などの野鳥もいた。 この野鳥も立派な食料となった。


  • 引用・ 参考文献
    • 最上徳内 (1808) :『渡島筆記』
      • 高倉新一郎編『日本庶民生活史料集成 第4巻 探検・紀行・地誌 北辺篇』, 三一書房, 1969. pp.521-543
    • Batchelor, John (1927) : Ainu Life And Lore ─ Echoes of A Departing Race
        Kyobunkwan (教文館), 1927.
        小松哲郎 訳『アイヌの暮らしと伝承──よみがえる木霊』,北海道出版企画センター, 1999.
    • 砂沢クラ『ク スクップ オルシペ 私の一代の話』, 北海道新聞社, 1983
    • 姉崎等『クマにあったらどうするか』, 木楽舎, 2002

  • 参考Webサイト