Up そして,<一様な個の集団>を立てる誤謬を継承 作成: 2017-01-18
更新: 2017-01-18


    "アイヌ"史概説を書く者は,細部を端折(はしょ)る。
    この《細部を端折る》は,《"アイヌ" の多様性をぼかす》に行ってしまう。
    しかし,"アイヌ" の多様性をぼかすことは,虚偽の "アイヌ"史を書いてしまうことになる。

    典型が,"アイヌ"イデオロギーである。
    "アイヌ"イデオロギーは,"アイヌ"史を「アイヌ民族悲惨史・闘争史」にする。
    これは,アイヌ終焉後アイヌ系統者を,同じ意思・同じ立場の者の集団──<一様な個の集団>──にしているわけである。

    河野本道の『アイヌ史/概説』は,アイヌ終焉後アイヌ系統者の多様性を見ようとしている。
    しかし,依然,把捉網の目が粗い。
    <一様な個の集団>を,安直に立ててしまう。
    しかもこれを,"アイヌ"史で最も肝心な内容となる「ウタリ協会」のところで,やってしまう。
    即ち,そこでは最低つぎの区分が要るのだが,これをしていない:
      1. 「アイヌ」の興業を企画する者
      2. 「アイヌ」役者として集められる者