Up 研究資料の死蔵 作成: 2018-11-27
更新: 2019-01-23


    希少資料は,その希少性によって,重要資料になる。
    重要資料は,損壊したら困るので,一般者のアクセスを不許可にする。
    しかしそれでは,死蔵になる。
    この問題のソルーションは,<複製の公開>である。
    そして今日のデジタル技術の進歩が,このソルーションを実際的なものにする。

    翻って,複製公開を作業していないところは,「アイヌ資料のブラックホール」のような存在になる。
    大きい機構・機関は,資料を呼び込み・回収するところとなるので,これが「ブラックホール」であることは「拡大するブラックホール」になって,たちが悪い。


    文献資料の複製公開では,国立国会図書館デジタルコレクションがよい仕事をしている。
    アイヌ関連文献資料も,逐次複製公開されていくように見える。
    ただし,アイヌ関連文献資料整備を中心的に担う機構・機関は,北大図書館と道立図書館ということになる。 これらに対しては,国立国会図書館デジタルコレクションと並び立ち,さらにそれの前を行くことが,求められる。

    実際,国立大学法人北大附属図書館・道立図書館に所蔵のアイヌ関連文献資料は,国民・道民の財産という位置づけになる。
    よって,一般公開が義務になる。
    「一般公開」の形は,時代によって変化する。
    Web の存在しない時代には,「閲覧」「資料請求」のような窓口をつくっておけば,「一般公開」の格好をつくれた。
    しかし,Web が一般ツールになったいまの時代には,この形は「職務怠慢」以外の何ものでもなくなる。


    デジタル画像として提供できる資料の類では,Web上公開が着実に進行しているように見える。
    しかし,デジタル音源として提供することになる資料の場合は,さっぱりである。

    道立図書館は,まったくこの(てい)である。
    重要な音資料が,死蔵状態になっている。