|
高倉新一郎 (1974), p.212
産気を催してくると、平生主婦の座のある下手に産褥をつくる。
いたどりやふきの葉を敷き、古ござを重ね、藁・ぼろなどを敷く。
粟や小豆の俵をおいてよりかかるようにする場合もある。
梁から負い縄を下げて産婦はこれを力綱にし、すわって生むのが多い。
炉の平常火をたく所の下手で、新しく特別に火をたく。
そして安産を祈る古老を除いては男子は全部席をはずす。
助産婦は昔は産の心得があるというよりは巫女である場合が多く、盛装をして子を迎える歌を歌う。
そのほか二〜三人の女が介抱につく。
入口は必ず開けておく。
アイヌの婦人はがまん強い上に健康だから、出産はだいたい軽く、産み落とすまでたいてい毎日働いていて、産気づくと自分で仕たくをし、自ら取り上げて、身の回りの始末も自分で ‥‥
|
|
引用文献
- 高倉新一郎 (1974) :『日本の民俗 1北海道』, 第一法規出版社, 1974
|