Up アイヌの人口推移 : 要旨 作成: 2019-02-03
更新: 2019-02-03


    アイヌの人口は,変動していることになる。

    松前藩は,場所勤めや運上屋を通じて,アイヌの人別改めを定期的に──おそらく年度ごとに──やっていたはずである。 それを見ればアイヌの人口変動がわかることになる。
    しかし,その台帳は残っていない。
    処分や紛失もあるが,事務書類はもともとオモテに出る性質のものではない。
    松浦武四郎のような表現者──暴露体質の者──によってオモテに出たものがあるばかりである。

    アイヌの人口変動を考える意味は,これがアイヌの生活を「諸行無常」の相において主題化することになるからである。
    実際,大変動モデルはアイヌの生活を熾烈なものに表し,小変動ないし微動モデルは,アイヌの生活を穏やかなものに表すことになる。


    "アイヌ"イデオロギーは,つぎのようなアイヌ失楽園ストーリーをプロパガンダする:
      「アイヌは北海道を楽園として生活していたが,
       そこに和人が侵入し,楽園を奪い取った」
    そしてこのプロパガンダは成功を収めてきた。

    自然ルポルタージュは,「動物の楽園」のような表現を好む。
    しかし,正しくは,そこは熾烈な生き残りの場に他ならない。
    実際,楽園があれば,生物はそこが熾烈な生き残りの場になるまで,個体数を増やすことになる。

    「アイヌの楽園」のほどは,もちろん「動物の楽園」とは違う趣きで考えることになる。 人は,「熾烈な生き残り競争」ばかりでなく,「共存のための契約」を思うことができるからである。
    そしてこのときは,アイヌの人口変動──アイヌの生活の「諸行無常」──のダイナミクスを,「災害」に求めることになる。
    自然災害や伝染病である。