Up 五輪公式ライセンス商品「メノコイタ」 作成: 2020-02-16
更新: 2020-02-16


      経済産業省北海道経済産業局, 2020-01-23
    https://www.hkd.meti.go.jp/hokcm/20200123/
    東京2020公式ライセンス商品として
    北海道で初めて伝統的工芸品関連製品が商品化
     経済産業省北海道経済産業局では、伝統的工芸品産業の振興を推進しています。
     この度、「東京2020公式ライセンス商品」として、北海道の伝統的工芸品として経済産業大臣指定を受ける「二風谷イタ」の技術を用い、製造される「メノコイタ」が、北海道で初めて商品化しました。
    東京2020公式ライセンス商品とは
     (公財)東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会では、東京オリンピック・パラリンピックをいつまでも人々の記憶に残る大会とするため、世界に誇る日本各地の技術・文化・伝統を反映した伝統工芸品等に公式ロゴマークを付け、ライセンス商品としてお届けする取組を行っています。
    伝統的工芸品とは
     伝統的工芸品産業の振興により、国民生活に豊かさと潤いを与えるとともに、伝統的技術・技法の伝承や地域の経済発展・雇用の創出に寄与することを目的とした「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」に基づき、経済産業大臣の指定を受けた工芸品。
     2019年11月20日時点で全国235品目指定されており、北海道では二風谷民芸組合(平取町)による「二風谷イタ」(木彫りのお盆)、「二風谷アットゥシ」(樹皮の反物)が唯一指定を受けている。

      読売新聞 北海道版, 2020-02-16
    東京五輪
    アイヌ工芸品販売
    「二風谷イタ」道内初、公式商品に
     平取町に伝わるアイヌの伝統工芸品「二風谷イタ(盆)」が、東京五輪・パラリンピックの公式ライセンス商品として販売されている。大会組織委員会はこれまで、全国で計54品目の伝統工芸品を商品化しているが、道内では初めて。
     発売されたのは、まな板と器がセットになった生活民具「メノコイタ」。素材はカツラとクルミで、長さ28センチ、幅11センチ。まな板の部分にアイヌ文様のモレウノカ (渦巻き文様) とラムラムノカ (ウロコ文様) を手彫りで施し、器の部分に五輪・パラリンピックのエンブレムがデザインされている。価格は4万円 (税別)。
     オフィシャルショップ札幌店 (札幌市中央区) やインターネットで購入できる。

    東京五輪・パラリンピックの公式ライ
    センス商品として発売された二風谷イタ


    北海道経済産業局が慎重に「伝統()工芸品」の言い回しを用いているところを,新聞メディアだといとも易く「平取町に伝わるアイヌの伝統工芸品」と短絡してみせる。
    「伝統()」であって「伝統」でないのは,つぎの経緯に因る:
      二風谷部落誌編纂委員会 (1983), p.236
     アイヌは日用品のほとんどを木や木の皮からつくり、木製用品には木彫、衣装には刺しゅうをほどこす習慣だった
    明治になって資本主義経済が北海道にも本格的に流れ込み始めると、明治26年(1893年) 貝沢ウエサナシ‥‥、貝沢ウトレントク‥‥ がクルミやカツラ材でアイヌ文様を彫り込んだ盆や茶托を作り札幌で販売しているが、これが二風谷民芸品の始まりといっていい。ウトレントクは大正3年(1914年)、ウエサナシは昭和14年(1939年) に亡くなったため,その後は貝沢菊治郎がパイプの製作・販売をするくらいで、自分たちの伝来の技術を生かして金に換えようと考える者はいなかった。
     その点に着目したのが萱野茂である。昭和20年代には、全国の小学校生徒にアイヌの生活や踊りを見せる巡業に村人を引率参加して、北海道以外の人々の生活や観光地を垣間みて歩きアイヌ民具が高く売れることを知って、昭和28年頃から自らカツラやクルミで茶托やお盆の製作に着手し、その後の二風谷アイヌ民芸、アイヌ観光の先鞭をつけた。
      萱野茂

    「伝統()」の「()」は,「アイヌは‥‥木製用品には木彫‥‥をほどこす習慣だった」からとってきているわけである。


    引用文献
    • 二風谷部落誌編纂委員会 (1983) :『二風谷』, 二風谷自治会, 1983.