Up アイヌ観光政策 作成: 2019-10-02
更新: 2019-10-02


      平取町 (2019a)
     国は、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会からの報告書をもとに、福祉分野を含む総合的なアイヌ民族政策を具体化するための作業を進めています。
     当町においては、「平取町アイヌ文化振興基本計画」を指針として、平取町アイヌ文化振興推進協議会、平取町地域活性化協議会での協議を重ね、「平取町地域再生計画」の各種事業の様々な組み合わせによるアイヌ文化振興をはじめとした総合的な政策の実施により、「地域資源をいかした持続的な産業創造」を図り、2020年に一般公開される民族共生象徴空間の「広域関連区域」としての当町の役割を果たしながら、生業に結びつき息づくアイヌ文化の継承と生活基盤の安定を目指します。
     また、アイヌ子弟の教育支援対策として北海道などが支援している高校及び大学等の修学援助について、申請などを円滑に進めるため事務の支援を行うとともに、雇用対策と技術習得を図る機動職業訓練の受託についても業務が円滑に進むよう支援してまいります。
     併せて、住宅環境改善対策として、住宅改良資金貸付金を引き続き予算計上したところであります。
     アイヌ文化振興・研究推進機構が、当町で先行的に進めているイオル再生事業については、これまでの事業実施経過について、高い評価を得ております。
     同機構が定める平成28年度から平成32年度の「中期的展開方針」では、当町での各種事業が計画されており、この方針に沿って、関係機関・団体と十分な連携を図りながら、事業を展開してまいります。
     また、伝承活動の基盤として整備している「コタンの再現空間」・「イオルの森」・「水辺空間」においては、体験交流事業などを通じて多くの方々がアイヌの伝統文化に親しめるような事業を実施してまいります。
     アイヌ文化環境保全対策事業については、北海道開発局から引き続き受託する沙流川流域地域文化調査業務を柱として進めていく予定となっておりますが、平取ダム本体工事の進捗と並行して文化環境の保全対策に向けた取り組みが本格化していることから、このための業務を関係団体と連携を強めながら精力的に推進してまいります。
     また、貴重な文化的所産と文化資源の保全活用を図る一環として、「AOTORA」をはじめとする石資源についても平取アイヌ協会及び関係機関との協調のもとに調査を進めながら保全・活用を検討してまいります。
     平取町アイヌ文化情報センターにおける情報発信機能については、従来のイオル再生事業及び博物館等のアイヌ文化資料の情報発信に加え、引き続きアイヌ文化博物館と連携し、海外ゲストとの文化交流の場としても積極的に活用するとともに、北海道初の伝統的工芸品や地域文化保護・保全対策についての情報発信の充実に努めます。
     シシリムカ文化大学は、町民などが体系的・継続的に学習を重ねアイヌ文化への理解の促進と普及啓発を図ることを目的に開講し定着化が図られておりますが、貴重な伝統文化を次世代へ確実に継承するために、幅広い層の学習参加となるよう、さらに充実を図ってまいります。
     また、現地体験宿泊型「大地連携ワークショップ」を引き続き開催することで、道内をはじめ道外の大学生及び大学関係者に対し、広くアイヌ文化を理解してもらうとともに、町のPRや普及啓発の取り組みを進めてまいります。
     二風谷地区のアイヌ伝統的工芸技術は、高い評価を得て現在も受け継がれておりますが、伝統工芸家は減少し、後継者の育成が喫緊の課題となっています。
     平成25年3月に「二風谷イタ」と「二風谷アツトウシ」が経済産業省から北海道初の「伝統的工芸品」の指定を受け、国・町の支援のもとに後継者の創出や需用開拓などを実施していますが、平成30年度より新たに町独自の人材育成制度を実施し、工芸品の販路拡大や後継者の育成を図ります。
     また、平成29年度に建設に着手した新・平取町民芸品共同作業場については、平成30年度に外構工事、木工機械等の設置などを進め、伝統工芸品の製作過程の実演・展示、体験交流、伝統技術・技法の継承と工芸家の育成、アイヌ伝統工芸品の製作及び新たな工芸品の開発・製作の場として活用し伝統工芸に係る産業の振興を図ります。
     また、「二風谷アイヌ文化博物館」・「萱野茂二風谷アイヌ資料館」と民芸店を結ぶ地域を「匠の道」と命名し、着地型観光の形成による販売促進の基盤づくりも行っており、さらなる伝統的産業の振興を図るべく予算計上したところであります。

      平取町 (2019b)
    町長「‥‥‥5点目に、アイヌ文化の総合的な伝承と理解を目的とした伝統的生活空間(イオル)の整備について、このことにつきましては、平取町は平成20年度から先行実施しておりますが、継続して予算増額を要望してございます。
    6点目に民族共生象徴空間「広域関連区域」としての平取町の役割につきましては、平成27年の10月に報告されました第7回のアイヌ政策推進会議の作業部会報告として、白老町以外のアイヌ文化の伝承活動等が盛んな地域として平取町が位置付けがなされているところでございます。2020年の象徴空間完成時には、100万人の来場者を見込むとのことでございますが、象徴空間の主として文化伝承、人材育成、あるいは体験交流に役立つ人材育成並びに食文化に必要な原材料について象徴空間等へ供給することで、その役割を担うことが実現できるように要望したところでございます。」

      内閣府 (2019), 「北海道平取町」の項目
    交付対象事業 交付決定額
    (単位 : 千円)
    アイヌの人々の心の拠り所となる精神文化の拠点(慰霊塔)の整備
    博物館所蔵資料のうち主な民具を高解像度で撮影し台帳・図録をデータ管理
    アイヌ工芸体験交流事業(木彫や織物、レーザー彫刻機など体験メニューを実施)
    観光プロモーション実施のための調査、基本構想等の作成
    イベントにおいて、木彫り体験等を実施
    アイヌ文化に触れてもらうきっかけづくりとして、謎解きイベントなどを実施
    アイヌ文化+食や温泉といった観光コンテンツを回遊してもらう仕組みを作成
    2021年のジャパンハウス(ロンドン)におけるアイヌ文化発信のための準備
    アイヌ文様ラッピングを施したバスを生活館等を拠点に2地区で運行
    アイヌ工芸家等の育成研修施設(イオル文化交流センター)の整備(基本設計)
    新たなアイヌブランドの開発・製造のためのレーザー彫刻機等の導入
    アイヌ文化のブランド化推進(商品の試作や、販売のための市場調査)
    21世紀・アイヌ文化伝承の森プロジェクト(国有林野内での育成状況の調査等)
    フィンランドの少数民族との交流
    中学生及び平取高校生を対象とした公営塾の運営
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