Up <観光に前のめり>──狂躁の北海道 : 要旨 作成: 2019-12-20
更新: 2019-12-20


    観光地が湧くのは,一時である。
    ブームが去り鎮静が戻る。
    ブームをあてにして大規模設備投資をしたところは,その設備をずっと負の遺産として背負うことになる。

    観光がブームのものであることは,簡単にわかることである。
    集客は,観光地間のパイの奪い合いである。
    そして,ひとはすぐに飽きる。

    北海道には,格好の事例がある。
    「夕張市の倒産」である。
    石炭産業終焉の夕張市は,観光に活路を求めた。
    これはうまく行かない。
    しかしいまさら後に戻れないという(てい)で,悪あがきを続ける。
    毎度の収支悪化を,借金でしのいでいく。
    そして積もり積もった多額の借金で,(つい)に倒産となる。

    しかしひとは,世代忘却する。
    また,不都合なことは,見ないようにする。
    こうして一巡して,北海道のいまの<観光に前のめり>がある。

    「観光」は,麻薬である。
    <観光に前のめり>は,経済がうまくいっていないことを表している。
    生産業基盤の経済政策に行き詰まりが見え,しかし「景気回復/向上/拡大」の旗を降ろせないところは,金が向こうからこっちに直接やってくる形を考えるようになる。
    いまの日本の観光推進政策は,これである。
    そして「IR誘致」がいまの目立ったテーマであり,これに北海道も乗ったりするというわけである。

     註: 国のいまの収支悪化状況は,夕張市などとっくに比ではない。