Up アイヌ料理は,調味料が無い 作成: 2019-01-28
更新: 2019-02-07


      最上徳内 (1791), p.31
    蝦夷土人(すべ)て、食する盤を用いず只椀一つを用い、汁菜をも食せず、
    味噌、塩も無ければ、魚肉獣肉に或は草根などを(まぶ)し、水煮にして食す。
    (まれ)に潮水を以て塩梅(あんばい)するもあり


    アイヌの調理法は,<鍋で煮込む>である。
    具材はあり合わせのもの (直近にとれたものないし保存食材) であり,味付けは無い。
    煮込んで出てくる味が,味のすべてである。

    アイヌ料理は,調味料──塩・胡椒・醤油の類──が無い
    アイヌは,調味料を持たなかった。

    実際,現代人の持つ調味料は,様々な技術と手間の賜である。
    アイヌは,それら技術・手間とは無縁のものであった。

     註: 塩が無ければ人は生きていられない,などと思ってはならない。
    肝心なのは「塩」ではなく,それの要素になっている元素の方である。
    そして後者は,狩猟採集生活ではしぜんと摂取できるようになっている。


    引用文献
    • 最上徳内 (1791) :『蝦夷風俗人情之沙汰』(『蝦夷草紙』)
      • 須藤十郎編『蝦夷草紙』, MBC21/東京経済, 1994, pp.19-115.