Up 2020年 :「民族共生象徴空間」 作成: 2017-02-28
更新: 2017-02-28


    ポロト湖畔には,2020年に「民族共生象徴空間」──国立アイヌ民族博物館・国立民族共生公園──が誕生する。
    この事業は,「アイヌ政策推進会議」の目玉である。

    「アイヌ政策推進会議」は,つぎの進捗でいまに至っている:
      1984年 「アイヌ民族に関する法律 (案)」, ウタリ協会
      1992年 国連総会「世界の先住民の国際年」演説 , 野村義一/ウタリ協会理事長
      1997年 『アイヌ文化振興法』制定
      2008年 「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案」, 国会
      2009年 アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会『報告書』
      2010年 アイヌ政策推進会議立ち上げ


    ここで興味深いのは,かつてつぎの発言をしていた野村義一が,「白老アイヌ観光」の新ステージの立役者になっていることである。
      菅原幸助「観光アイヌ」
     菅原幸助『現代のアイヌ』, 現文社, 1966. pp.78-88.
    p.83
     青年たちを指導してきた白老町漁業協同組合常務理事野村義一さんは、くやしそうに私にいった。
    アイヌの人たちは観光コタンをきらってよりつかない。そのコタンはさびれてゆくが、すぐ新しい観光コタンができるのです。観光事業家がやってきて、貧しいアイヌを他町村から集めてきでは新しい観光コタンがつくられるのです」

    実際,商品経済のダイナミクスは,こういう皮肉な顛末がふつうのことになる。
    人が商品経済に棹さすことは,至難である。
    特に,野村義一のように「先住民族」をふりかざす者は,必ず「アイヌ観光」「アイヌ利権」に取り込まれるというわけである。