Up 商品経済の<搾取>ダイナミクス 作成: 2018-12-06
更新: 2018-12-06


    近代経済は,商品経済である。
    マルクスの『資本論』は,この商品経済の構造・力学を解明しようとしたものである。

    マルクスは,商品経済を自己組織化する系として説く。
    人間はこの系では無人格になる。
    人間は,商品経済の歯車の一つに収まる存在であり,その他ではない。

    「商品経済の歯車の一つに収まる」の意味は,「<人が人を搾取する>の項の一つに収まる」である。

    <人が人を搾取する>の内容は,<下の成果を回収し,これを上に納める>である。
    商品経済では,この関係が何層にも積まれる。
    そしてこれが「搾取」を現すことになる。

    実際,<下の成果を回収し,これを上に納める>の役回りでは,成果回収を<一定量を下回らない>にすることがノルマになる。
    ノルマ不履行は,上から問責される。
    問責されないために,下に対し,自分への上納が一定量を下回らないことを課す。
    この上下関係が何段にも形成されている。

    経営トップは,収益増が役回りである。
    彼らにしても,中間職である。
    そして経営トップは,現場から離れているので,成果増はがんばれば達成できるもののように思う。
    成果横這いは,<がんばりが足りない>に見える。
    こうして,成果増を下に命ずる。

    この命令が,<下の成果を回収し,これを上に納める>のヒエラルキーを降っていく。
    これは,無理難題の伝送である。
    これが最下階層の<直接生産者 - 彼らを働かせる者>に届く。
    ここが,無理難題の無理矢理遂行の場になる。
    そして,無理難題の無理矢理遂行は,「虐待」がこれの絵図になる。


    商品経済は,上に述べた<搾取>のダイナミクスによって自己組織化する系である。
    しかし,「自己組織化する系」の考えは難しい。
    そこでひとは,<搾取>を人格論にしてしまう。
    「性悪な者が善良無垢な者から搾取する」の絵図で,理解したつもりになろうとするのである。

    これが,マルクス主義者 (「サヨク」) である。
    マルクス主義者とは,マルクスの考えを引き受ける者のことではなく,<搾取>を性悪論にする者のことである。


    "アイヌ"イデオロギーの者は,これである。
    彼らは,「性悪な和人が善良無垢なアイヌを搾取した」の絵図で,歴史を理解したつもりになる者たちである。

    この彼らがアイヌ学に進めば,学術にルサンチマンを持ち込み,歴史の改竄を行う者になる。
    実際,アイヌ学は,この種の者が「アイヌ学者」を占めるようになって,終焉した。