Up 利益追求の系遷移:牧歌的→機械的→残酷 作成: 2018-12-20
更新: 2018-12-20


    事業の開始したての頃は,みなが協力してがんばらねばならないから,互いを大事にする。
    仕事は,要領がわからないので,いろいろモタモタする。
    事業が軌道に乗るまでの期間は,組織が牧歌的な雰囲気のときである。

    要領がわかってくると,効率化が求められるようになる。
    効率化は収益向上とイコールだからである。
    そしてこのことで,組織は機械的なものになっていく。
    人間関係も無機的になり,殺伐としてくる。

    効率化が頭打ちになると,残るは<より多く働く・働かせる>である。
    労働に<残酷>の色合いが出てくる。


    利益追求の系は,このように遷移する。
    どの組織も,こうなる

    組織に自浄能力は無い。
    組織の員は,組織の自己運動の歯車となり,そしてその他にはなれない。
    残酷な組織は,員の残虐性に因るのではない。

    組織の<残酷>スパイラル上昇を止めるものは,二つである。
    一つは,自壊。
    もう一つは,外からの規制である。


    アイヌの場所労働は,このように捉えるべきものである。
    これは,「牧歌的→機械的→残酷」を基本モデルに遷移するものとなる。

    では,アイヌはなぜ場所労働者になるのか。
    狩猟採集生活はラクでないからである。
    場所労働生活は,狩猟採集生活に比べてラクということである。

    ここには,<雇われの身のラク>と<雇われの身ゆえに負ういろいろな理不尽>のトレードオフがある。
    しかし,<トレードオフする主体>は,最初だけのものである。
    場所労働に嵌まり,主体性を失うように推移していくというわけである。

      註. このダイナミクス (ダイアレクティクス) は,普遍的である。