Up 自立を失う 作成: 2018-12-31
更新: 2018-12-31


    <自立>は,<自給自足>がこれの形である。
    アイヌは,和人から仕事をもらう者になって,自立を失う。

      高倉新一郎 (1959), p.142
    蝦夷を保護する意味で、年中の仕事は小使を通じて会所が指図したようである。
    ことに産物の乏しい季節には番人が付添って他場所に出稼ぎに行き、産物もしくは労賃を得て生計を助けた。
    又飢謹に備えて、会所は一定の干魚を留保して置き、困窮の際は救済した。

      同上, p.143
    山の奥まで番所が設けられて、番人が出張し、産物を集めたので、会所と蝦夷との接触は多くなり、
    会所に使役される蝦夷も次第に多くなって行った。

      同上, p.145
    そのかわり、蝦夷全体の福祉を図るのは会所の責任だった。
    会所は蝦夷の生活に差支えることのないように季節々々の仕事を円滑に運ぶように配慮し、仕事のない時には番人付添で出稼ぎさせ、生活困窮者には手当を与え、不漁に備えて干魚を充分に蓄え、病人があると詰合の医師にかけ、薬を無料で与えた。


    引用文献
    • 高倉新一郎 (1959) : 『蝦夷地』, 至文堂 (日本歴史新書), 1959