Up アイヌについての思考停止 作成: 2019-02-24
更新: 2019-02-24


    最上徳内は,幕府直轄になる蝦夷経営について,「運上屋が不徳を致すのは独占を許されているからであり,市場参入が自由となれば競争原理が働き,悪質なものは淘汰され,良質なものが残ることになる」を説く者である。
    そしてこのとき,彼は規制撤廃・市場開放論者,新自由主義者である。

    われわれは,最上徳内の思うようには事が進まないことを知っている。
    規制撤廃は,詐欺まがいや持ち逃げの横行になる。
    短期に利益を回収することが目的になり,「従業員の介抱」などは端から考えないものになる。

    翻って,松前の蝦夷政策・運上屋制度は,「アイヌの介抱」の考えに立っていたことになる。
    実際,アイヌは,商品経済・土地私有体制の中に放任されることになって,終焉となったわけである。

    最上徳内の論は,矛盾した論である。
    彼は,本多利明の入植論に連なる者である。
    入植は,アイヌの領分を侵食し奪っていくことである。
    最上徳内が「アイヌによかれ」のふうに規制撤廃・市場開放を論じるとき,彼はアイヌの終焉を思考停止する者でいる。