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吉田常吉 (1962), pp.296,297
三港
蝦夷地と本州との交通は、松前藩の制度として福山・江差・箱館を三港といって、かならずこの三港を経由させた。
福山港は良港とはいえなかったが、松前の城下として蝦夷地の貨物はここに集散するので、船舶の輻輳することは随一であった。
江差・箱館の二港は良港ではあったが、福山港の盛況におされて発達しなかった。
しかし江差港は鰊および木材が産出するので船舶が輻輳し、また箱館港は昆布の出る時期には活況を呈した。
沖口番所
三港には沖口番所という役所があって、出入の船舶・積荷・旅人を検査して規定の税を徴収し、怪しい旅人は滞在することを許さなかった。
他国へ往来するものも、蝦夷地へ往来するものも、一様に検査を行なった。
三港の内に入らず松前地または蝦夷地から他国に直航することは、生鰊・塩鱈を他国に出す場合などの特別の事情があって願によって許された以外はこれを禁じ、直航するものがあればこれを処罰して、多額の税を徴収した。
一方また他国より蝦夷地に直航することも堅く禁ぜられていた。
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引用文献
- 吉田常吉 (1962) :「蝦夷地の歴史」
- 吉田常吉[編], 松浦武四郎『新版 蝦夷日誌(下), 時事通信社, 1962, pp.279-306.
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