Up 「学者間では常識」 作成: 2019-11-08
更新: 2019-11-08


      瀬川拓郎 (2007), pp.18,19
     古いヒトの形質を研究する学問は、形質人類学や自然人類学などとよばれ、歴史学である考古学とはちがって自然科学に属する(註)
    骨の形態学的な研究が主流だが、一九七〇年代以降はミトコンドリアDNAなど遺伝子研究もおこなわれてきている。
     アイヌの系統については、石器時代人 (縄文人) がアイヌか、あるいは非アイヌ (コロポツクル) か、という論争が明治時代からおこなわれてきた。
    しかしその後は、縄文人とアイヌは形質的にちがったものとする考えが主流を占め、一九五〇年代まではコーカソイド (白人) 説が世界的に受け入れられていた。
     ところが一九六〇年代に入ると、縄文人骨とアイヌの共通性が埴原和郎(はにはらかずろう)や元国立科学博物館の山口敏(やまぐちびん)らによってあらためて認識され、アイヌが日本人の成り立ちに深くかかわっていると考えられるようになった。
    現在では、アイヌは縄文人の子孫であるという認識が常識化しているが、意外にもその説の歴史はまだ浅い。


    学者が「常識」と言えば,一般者は「本当」と定める。
    そこで,ひとに自分を信じさせる方法として「常識」のことばを用いる者も出てくる。

    「常識」は,学者の使わないことばである。
    「常識」の実際を知っていれば,なおさらである。,
    その実際は,つぎのものである:
      この指とまれ」にとまる者が何人かいる。
       他は,これに係わらない。

    「常識」のことばのトリックは,言わずもがなであるが,老婆心から述べておく:
      《<係わってこない>を<承認した>にカウントする》


    引用文献
    • 瀬川拓郎 (2007) :『 アイヌの歴史──海と宝のノマド』(講談社選書メチエ), 講談社, 2007.