松浦武四郎 (1858) の中の人別改を統計すると,693人のうち245人が雇いに出ている。
以下,この内容。
沙流川筋を河口から溯る:
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松浦武四郎 (1858s1), pp.639-661
サルブト
‥‥‥ 此川口なり。‥‥‥
弐丁計上り
渡し場
‥‥‥ 人家三軒。
家主イカシロアン 五十四才、‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其隣、‥‥‥ 等家内二人にて暮しけるが、
其娘は雇に下られたり。
また其隣は ‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるが、
其クリキレも子ツキトクと雇に下られ、只爺と子供と残り居て、渡し守をする也。
‥‥‥
トンニカ村
‥‥‥ 人家十軒有。
家主極老ヱフマ 八十四才、 ‥‥‥ 老婆の妹ヲルシノ 四十八才、此者気抜にして稼出来がたし。家内四人にて暮しけるが、
此家より聟も妻も稼に取られぬ。
其隣 ‥‥‥ 等家内二人にて暮し、
家を明屋にして雇に出たり。畑も皆荒廃れぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内家には聟も妻も弟も雇に下られ、老人夫婦と子供三人と残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
家には老婆一人を残して二人とも雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ と家内六人にて暮し、
聟は雇に出たり。妻壱人にて子供両人と親両人を養ひたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其家には妻一人を残し、三人ともに雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮したり。
また其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮し、
其家主は雇に下られぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内弐人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮しぬ。
其内兄弟と嫁と三人雇に下られ、家には姉と養女ヱ夕ゝヌと両人残りぬ。此者馬鹿にして稼は出来ざるとかや。
‥‥‥
ヒタラバ
‥‥‥ 人家三軒有。
家主乙名シンコ 四十五、 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内聟夫婦にトキクシと三人雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮したり。
其内家主夫婦残りて三人雇に出たり。
また其隣 ‥‥‥ と家内五人にて暮しけるが、
家主は雇に行、家には妻一人にて子供三人を養ふ也。
‥‥‥
ヒラカ村
‥‥‥ 人家二十四軒、一条の市町の如く立並びぬ。
‥‥‥ 余此処え来るや、当サル場所惣乙名家にはキナもて家の内を美しく飾りて出迎ふ。
家主バフラ 七十七才、 ‥‥‥ 等家内六人にて暮したり。
然るに其カセンは雇にとられたり ‥‥‥
扨また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅夫婦に妹は雇に下られ、家には夫婦と末女と残り居たり。
また其隣 ‥‥‥ 家内五人にて暮しけるに、
其内倅夫婦は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮すに、
其内倅夫婦にクン子シリカ、イヘヤツカと四人雇に下られ有たりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内弐人なるが、
両人ともに雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内家主は雇に下られ、家に妻と子供のみ残りたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其内家主は雇に取られたり。
また其隣 ‥‥‥ 家内五人にて暮しけるが、
家に夫婦残りて三人は雇に下られたりと。
其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内聟夫婦に弟と三人雇にとられたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内家主と聟は雇に下り居たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内倅夫婦は雇に下られ居たり。
また其隣 ‥‥‥ と家内五人にて暮し、
其内倅は雇に下られ有り。
また其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮しぬが、
其内家主は雇に下られたりと。
其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内倅と家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 養女セワチ 弐十四才 此者気抜なり。家内五人にて暮しけるが、
其倅夫婦は雇に下られ居たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮しけるが、
其内家主と倅と弟と三人雇に下られ、家には妻と子供のみ残り、
また其隣 ‥‥‥ と三人にて暮しけり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
聟は雇に下られ妻を家に残して老養をさするよし。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其内家主は雇に下りたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内娘と弟と両人雇に下られ、家には老人夫婦残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 家内三人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
家主は雇に下られ、家に妻一人にて子供両人を育て居たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内養子シトマヌは雇に出たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内倅と二人の弟は雇に下られたりとかや。
‥‥‥
シユラシユツ 村
‥‥‥ 人家弐十三軒、市町の如く並ぴたり。
余は当所の乙名イコラツテ四十六才なる者の家にて止宿したり。
此家場所内第三番の大家にして、凡九間四面も有。
行器凡八十、太刀百振、鎗五すじも飾りぬるなり。
尤も具足等も有るよし申たり。
妻コハンテ 四十四才、
娘チヌンケ 弐十一才、此者サル支配人長吉の妾と成て当才の子をもてり。
弟ウタレアン 十二才、
妹ヲソマ 十才
等家内六人にて暮しけるが、
其娘と弟と二人は会所え下られ居たり。
‥‥‥
其隣は ‥‥‥ 等家内七人にて暮しぬ。
其内トレアンと養子夫婦は雇に下られ、家には妻と子供のみ残りたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しぬ。
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮し、
其内倅と妹とは雇に下られたり。
また其隣は ‥‥‥ 家内三人なるが、
家主は雇に下られ家には妻と子供のみ残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 家内弐人なるが
夫婦とも下られ、家は腐れたりと。
また其隣家にて ‥‥‥ 家内両人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ と両人なるが、
倅は雇に下られ、家には母一人残り有たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるが、
其内倅と養子は雇に下られ、家には母と嫁と残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 夫婦暮しなるに、
家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるが、
家主は雇に下られ、家には妻一人にて子供両人を養育す。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮しけるが、
其嫁は雇に下られ居たり。
また其隣 ‥‥‥ と両人にて暮しけるに、
其倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮しするが、
其内倅・聟夫婦は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等夫婦にて暮し、未だ相続人もなし。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ 家内四人にて暮したり。
また其内家主は雇に下られぬ。
また其隣 ‥‥‥ と家内七人にて暮し、
其内倅夫婦姉と三人雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅夫婦に孫一人は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等弐人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
また倅と弟とは雇に下れたり。
其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮し、
其内家主は雇に下られたり。
等此村に若きものとては一人も不レ残して、皆雇になりぬ。
‥‥‥
サラバ村
‥‥‥ 人家十九軒余り。
乙名コンカエ五十六才家にて休息す。 ‥‥‥ 等家内五人にて暮しけるが
倅と弟と嫁と三人は雇にとられ、家には乙名と倅の嫁と二人にて暮したり。
また其隣 家主土産取カメソウ六十一才、此者頗力も有、義気有、また漁業猟事も上手なりしが、近頃会所にて喧𠵅をなし、其よりして怒り、浜えは下らず。
余是を此処にて呼、其訳を聞に、如レ此支配人哉通辞に此場所を御任せ被レ置は、如何に土人可ニ立行一か。
十年の後 戊午の年より也 此千島のなり行こともがなとふと思ひ落涙せし ‥‥‥
妻カンナク 六十才、‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内聟と僕女の子とは雇に下られたり。
また其隣‥‥‥ 等家内四人にて暮けるに、
其イトロカウクは雇に下られたり。
また其隣‥‥‥ 等家内四人にて、
其内倅夫婦は雇に下られ、家主夫婦家に残りたり。
また其隣‥‥‥ 家内二人にて暮し、
其家主と妻は漁事の節は雇に下られるとかや。
また其隣‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
また其娘も弟も雇に下られ、家には母のみ残り居るとかや。
また其隣‥‥‥ と家内二人にて暮しぬ。
此子供は番人の子なりとかや。
また其隣‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるが、
家主は雇に下られ妻一人にて子供両人を養育し居るとかや。
また其隣‥‥‥ 等家内四人なるが、
其家には妻一人を残し三人とも雇に下られ居りしが、此頃娘なる者大病にて帰り来り居るよし‥‥‥
また其隣‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内娘は雇に下られたりと。
また其隣‥‥‥
また其隣‥‥‥ 等家内五人にて暮しけるに、
其アレナンカも会所え下られ、弟も雇に下られたり。
また其隣‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内聟夫婦と娘とは雇に下られ、家には家主夫婦に子供と残りぬ。
また其隣‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内フシランケは雇に下られたりと。
また其隣‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内イソンヒウクは雇に下られたり。
また其隣‥‥‥ 等家内三人にて暮したりけり。
其隣‥‥‥
また其隣‥‥‥ 等家内十人にて暮しけるが、
其内稼が出来る倅夫婦に聾妻妹と五人を雇に下られ、家には老人夫婦にて三人の幼子を養育したり。
また其隣‥‥‥ 此者二人にて暮しけるに、
二人とも雇に下られたりけり。
‥‥‥ 此村川端低き故に、畑物は大半流せしといへり。
‥‥‥
ハンケニナ
へンケニナ
東岸小川並びて有。
此川端昔し村なりしが、今は只畑のみ残りたり。
只名のみ残りて人家なし。
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松浦武四郎 (1858s2), pp.673-695
へンケヒラウトルナイ
‥‥‥
昔しは此川と下の川との間に人家有りしが、当時は皆西岸に引移りたりと。
然るが故に今畑は多分に東岸に有る也。
扱また西岸ヲハウシナイの少し上の方に、人家三十一軒有。
是を今は
ビラトリ村
と云り。
先岸に船をよせて上陸して、当所乙名チヤリアマ家えよる 五十六才 に、其家八九間有て頗る大家也。
行器・耳盥・手筥、太刀・短刀等百振余も飾りて美々敷さま也。
‥‥‥ 等家内六人にて暮しけるに、
其内倅と姉と二人雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮しけるが、
是も聟は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内倅夫婦は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内倅夫婦と弟と雇に下られ、家には母と妹と残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮しけるに、
倅とヱゝレと両人雇に下られたりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるに、
其内家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 家内五人にて暮し、
其内倅は雇に下られたりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮したり。
其内聟と妹二人と雇に下られ、
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮らしけり。
其内倅は雇に下りしとかや。
また其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮し、
家主は雇に下り家には妻と子供のみ残り、
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮し、
其内倅夫婦に弟二人の四人雇に下られ、家には親両人と末子とのみ残り、
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮し、
其内聟夫婦は雇に下られ居たり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し
其内聟とベコと二人雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮しけるが、
其家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮したり。
其内弟、嫁、イワトク、末弟と四人雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内娘は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内家主は雇に下られたりと。
又其隣 ‥‥‥ 家内六人にて暮し、
其内家主は雇に下られ妻一人にて子供四人を養育す。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内家主は雇にとられたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其聟は雇に下られぬ。
又其隣 ‥‥‥ 等家内九人にて暮し、
其内聟とヱトンブと両人は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 家内四人にて暮しけるが、
其家主とテカンとは雇に下られたりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内兄弟二人は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其家主は雇に下られ、家には妻一人にて四人の子供を養育す。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内九人にて暮し
其内トンハク、ヱフサレ、ユワンベの三人は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮、
其倅と妹は雇に下られ居たりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
家には母一人を残して倅も妹も雇に出たりと。
家数三十一軒、人別百六十人と聞けり。
此処も同じ事にて皆若きものは雇に下られ在、老少のみ残りけるとかや。
此地も低くして、此間の洪水に其畑を多く流したりとかや。
‥‥‥
ニブタニ
‥‥‥
ホンニフタニ
‥‥‥
人家ニフタニ村といへるは弐十七軒有。
其内此処に九軒有。
上陸して休む。
家主力ンテクシ婆 四十七才、 ‥‥‥ 等家内七人、
其内倅と弟と二人雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮す。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しぬ。
其内家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其内養子イタクノアは雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 二人にて暮しけるが
其家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内七人にて暮し、
其内倅夫婦は妹三人と雇に下られ、家には母と末女とのみ残るなり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮す。
其内家主は雇に下られたり。
‥‥‥
ビハウシ
‥‥‥
人家此処に拾五軒有。
上陸して、当所
乙名エニセテキ家に休 六十才 ‥‥‥ 等家内八人にて暮し、
其内倅夫婦と弟は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内トンラムク夫婦は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内家主は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅夫婦に弟と三人雇に下られ、家には爺夫婦と末女と残り、
また其隣 ‥‥‥ と家内三人にて、
家主は雇に下られ、家には妻と子供のみなり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内倅は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内九人にて暮し、
其内妹と弟と二人雇に下りたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其内倅は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ と家内四人にて暮し、
倅は雇に出たり。家に母一人にて子供二人を養ふ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其倅は雇に下られ有也。
また其隣 ‥‥‥ と家内二人にて暮しぬ。
また其隣 ‥‥‥ 家内三人にて暮しけるが
兄妹ともに今雇に下られ、家には母一人残りぬ。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮し、
其内倅夫婦と弟とは雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内三人にて暮し、
其弟も妹も雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内家主は雇に下られたり。
此処地所高くして水患なしと。
然し畑は川端なるが故に多く流しぬと話しぬ。
‥‥‥
カンカン
‥‥‥
其川口の上に少しの平有、此処に人家三軒有。
家主シユトシマウク 五十五才、 ‥‥‥ 家内八人にて暮しけるが、
其内聟と二三男と三人にて雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内二人にて暮しけるが、
漁事の頃は夫婦とも下られるとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮しけるが、
其家主は雇に下られ居たりとかや。
‥‥‥
チヱホツナイ
‥‥‥
此処までニフタニ村分也。
是より上は皆ニヲイ村の分なりと。
惣て此場所は山中迄もよくひらけ有る故に、村境等を皆立有りたり。
実に感ずべき事なるべし。
また少し上りて
ベナコリ
‥‥‥
人家十二軒。‥‥‥
上陸して家主イロエトク 四十八才家えよる。
‥‥‥ 等家内八人にて暮しけるに、
其内家には夫婦と十三才に成る子供と三人にて、他五人は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内弟に養子夫婦三人は雇に下られたりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 弐人にて暮し、
其倅は雇に下られ家には母一人にて残りたり。
また其隣 ‥‥‥ 此者子供もなし。只独り暮しけるとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内五人にて暮しけるが、
其内家には母と嫁のみ残り三人は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅夫婦と弟と三人雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 此者因の者無よしにて独にて居たりけり。‥‥‥
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其家主は雇に下られ居たりとかや。
また其隣 ‥‥‥ 等家内四人にて暮し、
其内倅夫婦は雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内六人にて暮し、
其内倅と弟とは雇に下られたり。
また其隣 ‥‥‥ 等家内二人にて暮し、
其倅は雇に下られたりと。
また其隣 ‥‥‥ にて家内三人にて暮し、
家主は雇に取られたりとかや。
‥‥‥
へテウコヒ
‥‥‥
へテウコヒは二股の事也。
左り本川ホロサル通り、右ヌカヒラ、ニヲエ、ヌツケへツ通り也。
‥‥‥
従二川口一是まで上り船は凡二日位も懸り、下り舟一日にてよろし。
(里)数凡十弐三里と思わるなれども、歩行にては常道の者二日、早きもの一日にてもよろしと。
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引用文献
- 松浦武四郎『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌』
- 高倉新一郎[校訂], 秋葉実[解読]『戊午東西蝦夷山川地理取調日誌 上巻』『中巻』『下巻』, 北海道出版企画センター, 1985.
1858s1 :「戊午第三十九巻 東部 沙留誌 壱」
1858s2 :「戊午第四十巻 東部 沙留誌 弐」
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