Up 「アイヌ」と「和人」: 要旨 作成: 2017-03-30
更新: 2017-04-07


    アイヌは,漁猟採集生活者である。
    この漁猟採集生活には,鉄器がある。
    実際,「アイヌの生活用具」は,鉄器が工作道具である。
    アイヌの漁猟採集生活は,鉄器があるばかりでなく,鉄器あってのものである。

    ところで,アイヌは鉄器をつくらない。
    鉄器は,和人がもたらす。
    よって,アイヌの漁猟採集生活は,最初から和人が要素になっている。

    即ち,こういうことである。
    和人 (鉄器農耕文化) と石器漁猟採集文化が()ち合い,石器漁猟採集文化がアイヌ文化 (鉄器漁猟採集文化) に変わる。
    アイヌ文化は,石器漁猟採集文化と鉄器農耕文化の界面文化ということになる。
    この界面 (広義「蝦夷地」) は,石器漁猟採集文化と鉄器農耕文化の勢力関係により,移動する。
    しかし,結局は鉄器農耕文化の優勢により,東北地方を北進し,北海道が最終の「蝦夷地」になる。

    よって,つぎの言い方になる:
     「 和人と出遭ってアイヌが生じる。
    和人と出遭う前にアイヌがいるのではない。
    和人と出遭う前にいた石器漁猟採集生活者は,「アイヌ」の姿形の者ではない。
    したがって,「アイヌ」ではない。

     確認 : 「アイヌ」は,生活様式を指すことばである。
    アイヌとは,「アイヌ」の姿形をしている者のことである。
    (アイヌのコタンに,外から人がやって来て,そこに居ついてアイヌの生活をするとき,その者はアイヌである。)