Up 「アイヌ法」と "アイヌ民族" の関係 作成: 2017-01-22
更新: 2017-03-31


    「アイヌ特権」について民族派"アイヌ" が立てるロジックは,つぎのものである:
      萱野茂『アイヌの碑』(朝日文庫) , 朝日新聞社, 1980.
    今まで何かと差別されてきた先住者のわたしたちアイヌの生活の向上のために、思い切った政策を実行して欲しい。
     家を不自由している人には家を建てて入れること。
    向学心に燃えても家庭の経済的事情で進学できない人には国費を出してやること。
    数の少ないアイヌだけでは国会議員、道会議員を選出することができないので、それを選出できる法律や条例をつくること。
    アイヌ語を復活させ、アイヌ文化の大切さを教えるため、希望する地域にはアイヌ語教育をする幼稚園、小・中学校、高校、大学を設置する。
    そして、これらに必要な経費は国や道が出す。
    元々の地主に今まで払わなかった年貢を払うつもりで出すこと‥‥‥

    「アイヌ法」は,このロジックを受け入れたものでない。
    誤解されやすいところなので,このことを押さえておくとする。


    「アイヌ法」に基づく「アイヌ特権」は,《先祖がかくかくしかじかなので,その子孫を特別扱いする》のロジックでやっているのではない。
    政治は,法治主義である。
    法治主義の政治は,《先祖がかくかくしかじかなので,その子孫を特別扱いする》という形の法は,つくらない。
    認定の条件規定がわけのわからないものになるからである。

    「アイヌ法」の「アイヌ特権」は,過去のことを理由にしているのではない。
    法は,現在のことを理由にしなければならない。
    ここで "アイヌ民族" の出番となるわけである。
    「アイヌ法」は,「"アイヌ民族" には特権を与える」という法である。
    実際は《先祖がかくかくしかじかなので,その子孫を特別扱いする》をやっているのだが,これでは法にならないので,「"アイヌ民族" には特権を与える」の格好にしているわけである。


    さらに,「アイヌ法」は,民族派"アイヌ" の要求に応じたものではない。
    力関係を考えれば,民族派"アイヌ" を利用する「アイヌ利権」グループの要求に応じたもの,ということになる。

    アイヌの子孫の特別扱いは,「アイヌ利権」が理由である。
    民族派"アイヌ" を特別扱いするのは,それが利権になっているからである。

    民族派"アイヌ" は,「アイヌ利権」の支えによって存在できている。
    この構造を,よくよく吟味すべし。