Up 「アイヌ法」: 要旨 作成: 2017-03-25
更新: 2017-03-25


    「アイヌ利権」は,「アイヌ予算」が糧である。
    「アイヌ予算」は,根拠が要る。
    その根拠が,「アイヌ法」である。

    「アイヌ利権」は,商品経済の営みである。
    「アイヌ予算」の保守──そしてできれば増額──に努める。
    そして保守/増額が従来法根拠では無理になるとき,保守/増額を可能にする新法の実現を運動する


    「アイヌ利権」グループの構成員は,「アイヌ代表」,地方自治体,各種企業である。
    これらは,「アイヌ法」「アイヌ予算」について,同床異夢の者たちである。
    「アイヌ代表」は,「アイヌ法」実現の運動において,先鋭化する傾向をもつ。
    地方自治体,各種企業は,運動の進行過程で,「アイヌ代表」の先鋭化をはぐらかしていく。

       アイヌ協会理事長「国連総会記念演説」(1992-12-10 )  
    各国の政府代表部の皆さん、そして、兄弟姉妹である先住民族の代表の皆さんにアイヌ民族を代表して、心からご挨拶を申し上げます。
    ‥‥‥ 第二次世界大戦が終わると、日本は民主国家に生まれ変わりましたが、同化主義政策はそのまま継続され、ひどい差別や経済格差は依然として残っています。
    私たちアイヌ民族は、1988年以来、民族の尊厳と民族の権利を最低限保障する法律の制定を政府に求めていますが、私たちの権利を先住民族の権利と考えてこなかった日本では、極めて不幸なことに、私たちのこうした状況についてさえ政府は積極的に検討しようとしないのです。
    ‥‥‥
    日本のような同化主義の強い産業社会に暮らす先住民族として、アイヌ民族は、さまざまな民族根絶政策(エスノサイド)に対して、国連が先住民族の権利を保障する国際基準を早急に設定するよう要請いたします。
    また、先住民族の権利を考慮する伝統が弱いアジア地域の先住民族として、アイヌ民族は、国連が先住民族の権利状況を監視する国際機関を一日も早く確立し、その運営のために各国が積極的な財政措置を講じるよう要請いたします。


      小川隆吉『おれのウチャクマ』, 寿郎社, 2015.
    pp.137
     「アイヌ文化振興法」ができる前の年の総会で、野村義一さんが理事長からおろされた。 野村さんがアイヌ新法を実現する先頭に立っていたんだ。 あの人は、新しいアイヌ法の下でも理事長を続けたいという気持ちがあったと思うよ。 なのに理事会の投票をやったら笹村に決まってしまったんだ。 同時に俺も理事から外された。 あれはクーデターのようなものだった。 ウタリ協会の転換点だったと思う。 うしろで政治家が動いていたのでないか。 一時「アイヌは日本人に同化して消滅した」なんて言う政治家もいた。 野村さんのあとウタリ協会理事長になった笹村は、「文化振興法」がウタリ協会のアイヌ新法案と全然違うのに一言も文句を言わないんだから。 共有財産裁判にも何度も協力を頼みにいったけど全く何もしなかった。 野村さんは裁判を支援する会の顧問になってくれた。 白老まで大脇さんと頼みに行ったんだ。
     あとから考えると、旧土人保護法廃止を前提として新法をつくろう、というのは間違いだった。 旧法と一緒に共有財産が持って行かれてしまって、文化、文化の一本になってしまって今のありさまだ。