「アイヌ法」の実現では,鈴木宗男 (国会) と町村信孝 (政府) の連携プレイが効いている。
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北海道新聞,2008-05-23.
有識者懇設置を要請 道ウタリ協
政府側検討の方針
北海道ウタリ協会の加藤忠理事長は二十二日、首相官邸で町村信孝官房長官と会談し、政府がアイヌ民族を先住民族と認め、先住民族としての権利を審議する有識者懇談会を官邸に設置するよう求める要望書を提出した。政府高官は同日夜、国会決議が採択された場合、有識者懇設置を検討する考えを示した。
町村氏は会談で、要望に対し「しっかりやります」と答えた。加藤氏は会談後、記者団に「世界では先住民族が認知されているが、国内ではアイヌ民族は置き去りになってきた」と述べ、有識者懇設置に期待感を示した。
要望書はこのほか、アイヌ民族の社会的・経済的地位の向上のため、法的措置による総合的施策の確立も訴えている。
会談には、超党派の「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」代表の今津寛自民党道連会長や鳩山由紀夫民主党幹事長らも同席した。
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第169回国会 本会議 第25号, 2008-06-06.
○議長(江田五月君) 次に、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議案の採決をいたします。
本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
〔投票開始〕
○議長(江田五月君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
〔投票終了〕
○議長(江田五月君) 投票の結果を報告いたします。
投票総数 二百三十一
賛成 二百三十一
反対 〇
よって、本決議案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
○議長(江田五月君) ただいまの決議に対し、町村国務大臣から発言を求められました。国務大臣町村内閣官房長官。
〔国務大臣町村信孝君登壇、拍手〕
○国務大臣(町村信孝君) ただいまの決議に対して所信を申し述べます。
アイヌの人々に関しましては、政府はこれまでも、平成八年のウタリ対策のあり方に関する有識者懇談会報告書等を踏まえ、文化振興等に関する施策を推進してきたところであります。
ただいま採択された決議でも述べられているように、我が国が近代化する過程において、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として改めてこれを厳粛に受け止めたいと思います。
また、政府としては、アイヌの人々が日本列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族であるとの認識の下、先住民族の権利に関する国際連合宣言における関連条項を参照しつつ、これまでのアイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組む所存であります。
アイヌの人々が民族としての名誉と尊厳を保持し、これを次世代へ継承していくことは、多様な価値観が共生し、活力ある社会を形成する共生社会を実現することにも資するとの確信の下、政府は、これからもアイヌ政策の推進に取り組む所存であります。(拍手)
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毎日新聞, 2008-06-06
「アイヌは先住民族」初の国会決議、採択
政府、認定に前向き
■解説
◇国連宣言の「外圧」で動く
アイヌの先住民族認定へ向け、ようやく国会の意思が一つになった。昨年9月に国連で採択された先住民族の権利宣言、7月にアイヌの先住地・北海道で開かれるサミット(主要国首脳会議)という「外圧」が国会を動かしたとも言える。今後は政府がサミットまでに先住民族認定に踏み切るかが焦点となる。
決議の動きは国連宣言を受けて始まった。自民党の今津寛衆院議員や民主党の鳩山由紀夫幹事長ら北海道選出議員が中心となり、7月の北海道洞爺湖サミットまでに先住民族認定を実現しようと超党派の議員連盟「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」を3月に結成し、政府と水面下で調整しながら決議の文案をまとめた。
ただ、政府・自民党内には過去のアイヌ政策を否定することへの抵抗感や、先住権として土地などの財産権、国会議席の民族枠などの政治的権利を要求されることへの警戒感が強い。同会が作成した当初の原案にはアイヌの歴史に関し「労働力として拘束、収奪された」「『同化政策』により伝統的な生活が制限、禁止された」などの記述があったが、自民党内の反発で削除された経緯もある。
国連宣言は土地権や自決権、教育権など、先住民族の権利として46項目を挙げている。政府は、有識者会議で具体的な先住権の中身を検討することになるが、国連宣言に賛成しながらアイヌの先住権を認めない「内と外の使い分け」はもう許されない。【千々部一好】
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鈴木宗男「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会における議論等に関する質問主意書」2009-03-13.
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a171209.htm
昨年六月六日、アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議(以下、「決議」という。)がなされ、アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(以下、「有識者懇」という。)が発足した。右を踏まえ、質問する。
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二 「決議」が議決された後の、昨年六月六日における当時の町村信孝内閣官房長官の所信(以下、「所信」という。)に
「我が国が近代化する過程において、法的にはひとしく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたアイヌの人々が多数に上ったという歴史的事実について、政府として改めてこれを厳粛に受けとめたいと思います。」
とある様に、アイヌ民族が我が国社会において様々な差別を受け、結果として貧窮を余儀なくされてきたことは紛れもない事実であると考える。
「有識者懇」に対しては、これまで北海道内外のアイヌ民族や市民団体等、様々なグループによりアイヌ民族の権利確立に向けた様々な意見が出されていると思料するが、例えばその中には、右で触れた点について政府に謝罪を求める意見や、これまでのアイヌ民族に対する差別の実態を審議する機関の設置を求める意見もあると承知する。「有識者懇」においては、本年七月を目処に、政府に対して最終報告書(以下、「報告書」という。)を提出すべく、現在様々な議論を行っているものと考えるが、政府として、「有識者懇」において右の意見が議論の対象とされているか、または「報告書」を政府に提出する際に、右の意見を踏まえた報告がなされるかどうか把握しているか。
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